正義感の強い人が嫌われる理由

第3に半沢の受け入れ先の問題がある。通常の上司であれば、多くは彼の受け入れを嫌うだろう。同僚も煙たがるかもしれない。少なくとも、ここまでで彼のやり方や言動は多くの人の知るところとなっている。人並みではない正義感や上司の不正に立ち向かう姿勢は、行内では知らないものはないはずだ。

人というのは、どんなに清廉潔白だと思われる人でも、たたけば少しは埃が出るものである。また、働いていると、埃かそうでないのかわからないものもある。そのため、多くの人は、同僚や部下に半沢直樹のような人間がくることを嫌う。やたらと正義感が強い人が周りにいると、少し居心地が悪いということを考えてみればよい。結果として、東京中央銀行行内で、彼を喜んで受け入れる、という上司や部署はあまりないと考えられる。あまり情報が流れていない、または関係上、抵抗できない子会社でないと受け入れてはくれないだろう。

そして、最後が、半沢直樹の今後である。ここからは、私の推測が入るが、上記のようなマイナス点があっても、彼は銀行のエースである。顧客のために徹底的に働く姿勢、また、ホテルの再建で見せたその手腕などは、銀行としても、重要な資産である。

もし、この銀行が彼の能力を将来的には活用したいと思っていたらどうするか。ここでそのままストレートに昇進させるよりは、1度出向させて、今回のゆきすぎた行動への処罰が下ったように見せたうえで、再び呼び戻すという選択が最も適切だろう。処分のように見せるだけではなく、実際の処分としての意味もあるだろう。