「調べて覚える」「考えて整理する」時間の消滅

さらに、わからないことに対する向き合い方も、大きく変わりました。

以前は英単語を調べるのに、英和辞典をめくるのが当たり前でした。アルファベット順にページを探し、意味を確認し、関連語を見つける。一つの単語を確認するだけでも、数分かかることも珍しくありませんでした。

時間も手間もかかる作業でしたが、その過程には「自分で探す」「ついでにほかの単語も目にする」といった副次的な学びが多く含まれていたのです。

西岡壱誠『子どもの地頭が育つ後悔しない子育て』(総合法令)
西岡壱誠『子どもの地頭が育つ後悔しない子育て』(総合法令)

今やそれらの問題は、スマートフォンですぐに解決します。

一つの問題に悩みすぎずに答えを手に入れられ、学ぶための手間がかからず便利で効率的になっています。

ですが、考える前に答えが手に入ることで、「調べて覚える」「考えて整理する」といった時間がなくなり、思考力や記憶力が落ちているのではないでしょうか。

情報を取得する速さが、学習を作業に変え、「探すことで深める」「悩んで独自の工夫をする」などの体験を奪ってしまう。数学でも、理科でも、難しい問題があると、すぐに「わからないから」と答えを見てしまう。検索したら答えが出る便利になった学習環境が、皮肉にも考える力を育てにくくしているのです。

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