「ボスにほめられ、うれしかった」

山田が最も得意としたのは、「自分は絶対に騙されない」と過信している者への対応だった。山田にとっては、そんな人物ほどカモになる。「あなたが詐欺に巻き込まれた」という設定を創作し、被害者としていさめながらも、時折「しっかりされているんですね」などと相手のことを褒めるのが山田の手法だった。

多数のスマートフォン
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「五十嵐」と名乗った彼女が詐欺師として突出していたのは、日本へかける「アポ(電話)」の本数だ。一日300本。休むことなく、ひたすらかけ続けた。大半の電話は通話をすぐに切られる。100件近くかけて、1〜2件「刺さる」案件があれば上々だ。成功率を上げるために、数をこなすことは絶対的に重要だった。山田に“数字”がついてくるのは、必然だったのかもしれない。彼女が躊躇なく電話をかけ続けた背景には、こんな思いもある。

「数字を上げられない人間に価値はない、という考えが箱の中には浸透していました。私は誰よりも多く電話をかけ、数字を上げて評価されたかった。実際すぐに案件を取りまくり、幹部たちからも『俺たちはお前を尊敬している』と褒めてもらった。特にボス(渡邉)には可愛がってもらいました。人生でそんな経験をしたことがなかったので本当に嬉しかった」