どうすればより正確に把握できるか
調査方法の見直しも進んでいる。2015年に導入されたインターネットによる回答率は47.3%と2020年の調査から9.4ポイント上昇。郵送による回答を初めて上回った。IDやパスワードを手入力しなくて済むQRコードを送付するようにしたことで、一気に回答率が上がった。それでも全体の回答率は8割にとどまった。日経新聞は英国を例に挙げ、「オンライン主体の調査に切り替え、反応のない世帯は郵送や対面でフォローアップする。直近21年の回答率は97%に達した」と報じている。
どうやって自分たちの「国のかたち」を知るために、人口などの基本情報をより正確に把握するのか。住民票のデータや所得・納税情報、職業、医療や年金、介護などの社会福祉データを一元的に把握できるシステムができあがれば、膨大な時間と費用をかけて国勢調査を行わなくても、「国のかたち」が見えてくるに違いない。
国勢調査の人口データが与える影響
国勢調査の人口データは様々な政策に影響を与える。端的な例が有権者数をベースに調整される国政選挙の選挙区割などだ。裁判所も1票の格差を判定する際に国勢調査の人口を使う。小さな選挙になれば、人口データの誤差によって選挙区割などに影響が出ないとも限らない。
また、前述の「配偶者の有無」や高齢者が「独居」なのか「家族」がいるのかといった情報は、福祉政策を大きく左右しかねない。都市部の集合住宅での孤独死などが大きな社会問題になっているが、都心部ほど家族状況の情報が取りにくい現状では、適切なサポートを実施することができなくなる恐れもある。
国勢調査を担当している官僚からすれば、どうやって国勢調査の精度を上げるかが大きな課題だと考えるに違いない。マイナンバーを活用して国民の様々な情報を一元管理するようになれば、国勢調査をやらずとも国のかたちは現在以上に正確に把握できるはずだ。
国勢調査を「調査」としてやらなくても、国のかたちが把握できる仕組みを早急に整えるべきだろう。「情報」を一元管理することが国民の利便性を高めることに繋がるなら、国民も住民登録など自身の正確な情報を提供しようと考えるに違いない。


