「ダメ出し教育」から視点を変えてみる

私たちは、無意識のうちに「プロブレムフォーカス」の視点でものごとを見る傾向があります。

日本では特に、100点満点で90点を取ったとしても、減点された10点のほうに焦点を当てられて「そこをどう改善するか」を求められます。いわゆる「ダメ出し教育」の弊害です。

もちろん、「プロブレムフォーカス」のアプローチが不要なわけではありません。

ただ、「主体的に動ける人材へとメンバーを育てる」というゴールに向かうときには、意識して「ソリューションフォーカス」の視点に切り替えることが大切です。

「ソリューションフォーカス」は、問題の原因をすべてなかったことにするわけではありません。「なぜダメなのか」ばかりを掘り下げることがあまり建設的ではないというだけです。

小さな前進が育む「チャレンジ精神」

「ソリューションフォーカス」では、「どこができていないのか」「何ができていないのか」にあえて焦点は当てません。

いまの段階でどこまでできているか
どんな成功体験がすでにあるか
次の一歩として何ができそうか

といった、プラスの側面が自然と目に入るようになります。

だからこそ、「本人の強みや持ち味をどう活かすか」という方向に、「教える側」の問いかけや関わり方が変わっていくのです。

永藤かおる『「アドラー」だから自分で動ける部下が育つ 上司の教え方』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)
永藤かおる『「アドラー」だから自分で動ける部下が育つ 上司の教え方』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)

「私、全然できていません……」と自信を失いかけている相手にも、「前のプロジェクトでこんなことをしていたよね」「あの対応はすごくよかったよね」という前向きな声かけもできるでしょう。

そうやって過去の成功体験に気づかせてあげれば、「案外自分はできている」という自己肯定感につながります。

この相手を勇気づける行動こそが、

「自信はないけど、とりあえずチャレンジしてみよう」

という意欲と行動を引き出すのです。

それは必ず前に進むエンジンになりますし、こうした小さな前進の積み重ねが、主体性や成長意欲の根幹となるのです。

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