この富裕層像は、本サイトで紹介された「いつの間にか富裕層」(※)の資産形成と一致する。
※『「いつのまにか富裕層」の正体』の記事一覧 | PRESIDENT Online(プレジデントオンライン)
上記の記事で紹介されているように、「いつの間にか富裕層」とは、会社員が自らの給与所得によって資産を築き上げた、新しい富裕層である。株式相場の長期的な上昇傾向を背景に、従業員持株会や確定拠出型年金、少額投資非課税制度(NISA)などの投資優遇制度を有効活用して、資産形成に成功した人々を指している。
例えば、従業員持株会を取り巻く環境をみると、近年の株式相場の上昇が、持ち株会加入者の資産額を大きく押し上げている。
東京証券取引所が毎年集計・公表している「従業員持株会状況調査」によると、持株会加入者1人当たりの平均株式保有金額は、2023年度(2024年3月31日)には282.4万円と、2006年度につけた過去最高水準(224.4万円)を17年ぶりに上回った。直近2024年度(2025年3月31日)は250.3万人と前年度を下回ったものの、2025年度についても、日本株の代表的な指数である東証株価指数(TOPIX)と足並みを揃えるかたちで、一段と増加した可能性が高い(図表1)。
株高と円安で「いつの間にか富裕層」が急増
企業が奨励金の支給額を引き上げていることもあり、持株会に加入する従業員の割合は2006年度以降の緩やかな低下傾向から一転して2023年度から上昇しており、2024年度の加入割合は40.12%と、12年ぶりの高水準に回復している。株価上昇の恩恵は、持株会への加入増加を通じて、幅広い世代に浸透している模様である。
前掲記事にある野村総合研究所の富裕層調査(※)によると、準富裕層(純金融資産保有額5000万円以上1億円未満)から富裕層(同1億円以上5億円未満)に移行した近年の富裕層の世帯数の増加に、「いつの間にか富裕層」は大きく寄与した模様である。最新の同調査は2023年時点だが、日本株は2024年に約34年ぶりに史上最高値を更新し、その後も水準を一段と切り上げている。
※竹中啓貴・荒井匡史『「いつの間にか富裕層」の正体 普通に働き、豊かに暮らす、新しい富裕者層』(日本経済新聞出版、2025年)
海外の株式相場も同様に史上最高値を更新する上昇を続けた上、記録的な円安の進行もあって、外国株投資は極めて良好なパフォーマンスを記録した。強烈な株高と円安を背景に、従業員持株会や確定拠出型年金、少額投資非課税制度(NISA)などによる資産形成を通じて、富裕層の世帯数は2024年以降に一段と増加した可能性が高い。

