家電を買うときには、価格や機能を比べ、徹底的に吟味するのに、資産運用の商品となると、銀行員の薦めるがままに買ってしまう。様々な客を、銀行員は一瞬で見分ける。そのポイントは、たった一つの口グセだった――。元銀行員が営業の裏側を明かす。

「アドバイス」ではなく「セールス」のプロ

ファイナンシャル・プランナー(FP)として仕事をしていると、「銀行でこんなことを言われたんですが、どう思いますか」という相談を日常的に受けます。東京三菱銀行(現・三菱UFJ銀行)やシティバンク銀行で銀行員をしていた私には、担当者がどんな気持ちでその言葉を口にしているか、なんとなく想像がつきます。断っておきたいのは、銀行員は「お客さんを騙してやろう」などとは思っていないということ。役に立ちたい、いいものを紹介したい、という気持ちは本物です。

ただ、銀行員が商品を薦めるとき、そのメリットは研修で徹底的に叩き込まれていますが、コストの低いインデックスファンドやETF(上場投資信託)との比較を学ぶ機会は、社内にはほとんどありません。だから「これがいいものだ」と本気で信じたまま薦めているケースも、少なくないのです。

これは構造的な問題です。銀行員は「セールスのプロ」であっても、「アドバイスのプロ」ではありません。彼らの報酬は、あなたへのアドバイスではなく、商品を販売したことへの手数料です。そこを理解したうえでお付き合いしないと、知らぬ間に大事なお金が削られていきます。

(文=西川修一 イラストレーション=前田はんきち)