スマホは「別室に置いておく」が正解

「勉強中にスマートフォンを触っていなくても、スマホが視界にあると成績は下がる」。

そう聞くと、少し意外に感じるかもしれません。しかし、スマホに関する研究はすでに多く行われており、科学的に確認されている事実です。スマートフォンを勉強する部屋から物理的に遠ざけることで、集中力は大きく変わるのです。

テキサス大学の研究では、大学生を3つの条件に分けてテストを行いました。スマートフォンを机の上に置いたグループ、ポケットやかばんに入れたグループ、別室に置いたグループです。なお、いずれも電源は切られていました。結果は3つのグループで成績に差が生じる意外なものでした。

最も成績が低かったのは机上に置いたグループで、最も高かったのは別室に置いたグループでした。ポケットやかばんはその中間の成績です。

この研究で注目すべきは、本人たちが「スマホの影響は受けていない」と感じていた点です。それでも、成績に差が出ていたのです。この結果からわかることは、無意識のうちにスマホによって脳の処理能力(ワーキングメモリ)が奪われていたのです。

スマートフォンを操作する男性の手
写真=iStock.com/Kirill Smyslov
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電源・通知オフでは不十分

スマートフォンは操作しなくても、その場にあるだけで脳のワーキングメモリを消費するということがわかります。「電源を切っているから大丈夫」「通知をオフにしているから問題ない」。そう思うかもしれませんが、実際は異なっていたのです。

脳は、「見ないように意識する」「気にしないようにする」ことで、意識してしまいワーキングメモリに負荷をかけてしまうのです。しかも、その負担を本人が自覚しにくい。だから「手元スマホ」は効率的な勉強を行う上ではNG行為です。

スマホがもたらす、この負の効果を「ブレインドレイン効果」と言います。

私が勤務していた海上自衛隊では、スマートフォンは別室に置かれ、教場、事務室や自習室への持ち込みは禁止されていました。最初は手元にスマホがないと不安になる人もいますが、人間は慣れるものです。まずは、10分など時間を決めて手元から遠ざけてみてください。

スマートフォンは非常に便利な道具ですが、強力な誘惑になります。実際の学校現場でも、別室にスマホを置く効果が確認されています。イングランドの中等学校では、スマートフォンの持ち込みを禁止した結果、試験成績が向上したという報告があります。スマートフォンを「視界から消す」だけでなく、物理的に「外に置く」ことが、学習成果を押し上げたのです。