新型CX-5で採用、大型モニターへの懸念も

物理スイッチに代わって導入するのは、車載型システムのグーグル・ビルトインを搭載する大型タッチスクリーン。アメリカで今年初頭に発売され、日本でも5月21日に330万円からの価格で発売されたばかりの新型CX-5(3代目、約9年ぶりのフルモデルチェンジ)でデビューとなった。

新型CX-5
画像提供=マツダ
新型CX-5

同モデルは伝統だった回転式ノブを廃し、15.6インチの大型タッチパネルを採用。物理ボタンはデフロスト、デフォグ、ハザードの3つだけと、極めて絞り込まれている。タッチスクリーン依存でボルボとテスラが減点された直後に、王者となったマツダが、まさに同じ方針へと転換しようとしている。

ただしマツダは、わき見運転のリスクを低減する方針は維持する。バルブエナ氏はモーター1に対し、「注意散漫の最小化」という哲学は不変だと強調。ステアリング上の専用ボタンや音声認識を組み合わせ、視線を前方に向けたまま操作できる設計は維持したと説明した。

一方、マツダのほころびの兆しは、別の面からも懸念される。

CRの別ランキングである「2026年信頼性ランキング」では、CX-70とCX-90の不具合が響き、マツダはトップ10圏内から14位へと後退した。

CRの「信頼性」とは、故障や不具合の少なさを指す。会員が過去12カ月間で実際に遭遇した不具合を集計したものだ。

フィッシャー氏は、大胆な設計変更や新技術を導入したことにより、信頼性の面で後退する現象は一般に起きうると指摘。今回のタッチスクリーン化という方針転換にも、同じリスクがついて回ることになる。

それでも、マツダは独立した評価機関により、設計哲学の有効性が裏付けられている。オート・ブログによれば、新型CX-5はユーロNCAPで5つ星を獲得。全4項目で、欧州市場向けセーフティパックを装着したホンダCR-Vをも上回った。

「死亡事故ゼロ」目標は実現できるのか

新技術への期待と不確実性が交錯するなか、マツダ広島本社は安全への取り組みを今後も進める。

長年をかけて培った人間工学の研究を土台に、危険が顕在化してから反応する技術ではなく、危険にさらされる状況そのものを減らす先進安全技術を、同社は地道に磨いてきた。今後見据えるのは、2040年までに新車に起因する死亡事故をゼロにするという、野心的な長期目標だ。

マツダはこの姿勢を、人間中心の設計思想にも一貫して反映させている。マツダUSAニュースルームによれば、ブレーキ、操舵、ハンドリングはいずれも自然で先読みしやすい挙動になるよう作り込まれ、運転支援システムが介入する前の段階で、ドライバー自身が危険を回避できる構造になっているという。

米マツダの車両安全担当ディレクター、ジェニファー・モリソン氏は「安全はマツダのエンジニアリング哲学の根幹であり、ドライバー・乗員・道路を共有するすべての人を守るという我々の揺るぎないコミットメントを、CRが認めてくれたことを光栄に思う」と語った。

回転式ダイヤルを廃止しタッチスクリーン導入へ舵を取ったマツダは、安全性とモダンな操作性をどう両立するか。相反する2つの価値への対応が注目される。

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