ボルボ、テスラが減点された理由

名門ボルボとテスラは、なぜスコアを落としたのか。評価項目を仔細に見ていくと、両ブランドが陥った「減点要因」の存在が浮かび上がってくる。

CRは、EX30をはじめとする近年のボルボ車に対し、ユーザビリティ(操作のしやすさ)の評価で最低スコアを付けている。CRの自動車テスト部門シニアディレクター、ジェイク・フィッシャー氏は、「空調や音声の操作で気が散るのは、安全性に対する失点だ」と指摘する。

「オートチューリッヒ2023」に出展されたボルボ EX30
「オートチューリッヒ2023」に出展されたボルボ EX30(写真=Alexander-93/CC-BY-SA-4.0/Wikimedia Commons

テスラの事情も、おおむね同じだった。衝突試験では総じて好成績を残し、衝突回避技術の実効性も折り紙付き。それでもモデルYとモデル3は、ブランド別評価でランキング最下位付近に沈んだ。

要因は、ほとんどの操作をセンタースクリーンに集約したコンソールにある。速度計が運転席の正面に据えられたクルマや、ワイパー操作が直感的なレバー式のクルマであれば、ドライバーは路面から視線を外さずに済む。ところがタッチスクリーンに依存した設計では、ドライバーは運転中に注意を奪われかねない。CRはそう見ているのだ。

ボルボの内装をめぐっては、評価項目とは別に、実社会で安全性への疑問がちらつき始めている。米集団訴訟情報サイトのトップ・クラス・アクションズによれば、車載インフォテインメントシステムのAndroid Automotive OSを採用したモデルをめぐる不具合に起因して、昨年12月、米ニュージャージー州連邦裁判所で集団訴訟が提起された。

インフォテインメント画面のフリーズやバックカメラが起動不能になる症状のほか、ヘッドライトの不規則な点滅やウインカーの誤作動も発生。修理・ソフトウェア更新・リコール後も解消しなかったとして訴訟に至っている。

マツダが“世界一”になった決め手

ボルボとテスラの陥落要因が「操作の煩雑さ」だったとすれば、マツダが首位を勝ち取った決め手はどこにあったのか。

答えは、拍子抜けするほど明快だ。マツダは安全装備をオプション扱いせず、価格帯やグレードを問わず搭載する方針を貫いてきた。

CRが2月に導入した新指標「セーフティ・バーディクト」は、衝突回避と乗員保護の総合スコアを、ベーシック/ベター/ベストの3段階で示すものだ。

最上位のベストを取得するには、4つの要件をくぐり抜けなければならない。

第1に、高速走行時でも動作する自動緊急ブレーキ(AEB)、ブラインドスポット警告(BSW)、後方クロストラフィック警告(RCTW、後退で車道に出る際に左右からの接近車両を知らせる装備)が、全グレードで標準装備されていること。

第2と第3に、IIHSの2つの衝突試験で高評価を得ていること。そして第4に、ドライバーの注意を奪わない操作系を備えていること。この4点である。