筆者が提唱する「リハビリテーション栄養」とは
リハビリテーション栄養とは、リハビリテーションと栄養を通じて、障害のある方やフレイル高齢者の栄養状態、サルコペニア、栄養素摂取、フレイルを改善して、生活上のパフォーマンスとウェルビーイングをできる限り高めることです。
リハビリテーションというと、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士といったリハビリテーションスタッフが、対象者に訓練を行っているイメージが強いと思います。しかしリハビリテーションとは、自分らしく生きるための活動すべてを指します。
ですので、運動、栄養、社会生活、心理・スピリチュアルはすべてリハビリテーションに含まれます。ただ、リハビリテーション栄養という言葉があったほうが、リハビリテーションにおける栄養の重要性がより伝わりますので、私がこの言葉を作りました。
運動や栄養管理に熱心に取り組んでいる方は、少なくありません。しかし、リハビリテーション栄養の視点で考えると、栄養状態や栄養摂取を考えないで運動やトレーニングのみ頑張ったり、運動やトレーニングを全くしないで栄養摂取のみ頑張ったりしていると心配です。
栄養不足の筋トレは、むしろ筋肉を減らす
例えば、十分なエネルギーやタンパク質を摂らないで筋力トレーニングだけ頑張ると、エネルギーのバランスがよりマイナスになって、自分の体脂肪や筋肉を分解することで体重が落ちてしまいます。一方、体重を増やそうと栄養摂取だけ頑張って筋力トレーニングをしないと、筋肉ではなく体脂肪だけが増えてしまい、肥満でむしろ動きにくい体になってしまいます。リハビリテーション栄養の視点で、運動と栄養の両者に同時に取り組むことが大切です。
私がリハビリテーション栄養という言葉を作った背景には、入院している方に低栄養やサルコペニアがとても多いにもかかわらず、リハビリテーションだけ頑張っていて栄養摂取をおろそかにしている方が多かったことがあります。入院している方の多くは食欲が低下していて、十分に食事を摂取することができません。その場合、腕から点滴をすることがよくあります。腕から点滴していればエネルギーもアミノ酸も十分に含まれていて食事をしなくても安心してしまう方が多いのですが、それは勘違いです。平均的な点滴は、1本500ミリリットルで100キロカロリー前後のエネルギーしか含まれてなく、アミノ酸が含まれている点滴は少数です。つまり、1日3本で1500ミリリットルの点滴を行っても1日300キロカロリー程度にしかなりません。

