習近平の笑顔に隠された本音

習近平を追い込む要因は三つある。

第一に、北朝鮮がロシアという二つ目の大国の後ろ盾を得たこと。第二に、イラン戦争がホルムズ海峡を揺らし、中国の原油調達と中東外交を直撃したこと。第三に、台湾海峡と朝鮮半島が、米国の軍事資源と同盟網という一本の線でつながり始めたことだ。

この三つが同時に重なった状態こそ、習近平を平壌へ向かわせた「三重苦」である。習近平の訪朝は、隣国外交というより、手持ちのカードを守るための危機管理として読める。

三重苦の第一は、ロシアである。金正恩が手にした新しいカードは、モスクワだ。

2024年6月20日に配信されたロイターの記事によれば、北朝鮮とロシアは、どちらかが武力侵略を受けた場合、即時に軍事支援を提供する内容の包括的戦略パートナーシップ条約を結んだ。さらに2024年12月4日に配信されたロイターの記事によれば、この条約は批准書の交換によって発効した。

ロシアは、中国の意向に縛られずに動く大国である。反米という旗の下では連携しても、プーチン政権の最優先事項はウクライナ戦争の遂行である。必要なら、平壌と直接取引する。兵士、砲弾、政治的支持を得るためなら、朝鮮半島の緊張が高まるリスクも受け入れる。

北京から見れば、これは「裏切り」に近い動きに映る可能性がある。ただし、ロシアが中国を裏切ったと単純に断じるより、自国の戦争遂行を最優先した結果、中国による北朝鮮の管理が難しくなったとみるべきだろう。

6月10日に配信されたロイターの記事は、中朝双方の発表には差があり、北朝鮮は儀礼と対等性を強く見せ、中国は貿易、観光、法執行など実務面の成果を語ったと分析した。

金正恩は中露の利害のずれに入り込み、両国の間を動くことで自国の値段をつり上げている。

イラン戦争が中国を締め上げた

第二の要因が、イラン戦争である。

2026年2月28日に始まった米国・イスラエルの対イラン軍事行動は、ホルムズ海峡の混乱、米イラン間の攻撃応酬、停戦協議までを含む一連の中東危機へ広がった。2月28日に配信されたロイターの記事によれば、イスラエルはイランへの先制攻撃を始め、米国との調整も報じられた。

6月10日に配信されたロイターの記事によれば、イラン革命防衛隊(IRGC)は、米軍がホルムズ海峡周辺のイラン標的を攻撃したことへの報復として、ヨルダン、クウェート、バーレーンの米軍基地をミサイルやドローンで攻撃したと発表した。

スピーチ
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中東で火が上がれば、米国の艦船、弾薬、外交注意力は引き延ばされる。同時に、中国の原油輸入、海上交通、対イラン関係も揺れる。北京には、米国の目が中東へ逸れる以上の懸念がある。中東危機が、エネルギー、台湾、朝鮮半島を束ねる米国の交渉圧力へ変わることだ。習近平の訪朝は、隣国外交というより、手持ちのカードを守るための危機管理として読める。