習近平と金正恩の“力関係”に変化が

6月8日に配信された新華社の記事によれば、習近平は6月8日、国賓訪問のため平壌に到着し、金正恩と李雪主夫人が習近平夫妻を空港で出迎え、金日成広場では21発の礼砲を伴う歓迎式典が行われた。同じ記事によれば、習近平は会談で「7年ぶりに再び平壌を訪れ、とても温かく親しみを感じる」と述べた。

中国側の言葉は、異例なほど丁寧で熱烈なトーンだった。6月8日に配信された新華社の記事によれば、習近平は「国際情勢がどう変わっても」、中国共産党と政府が中朝の伝統的友好を重視する立場、金正恩の率いる社会主義事業への支持、両国共通利益の維持を不変のものとして示した。

6月10日に配信されたロイターの記事によれば、習近平は訪問後の謝意メッセージで、両首脳が「重要な共通認識」に達し、関係が新たな歴史的段階に入ったと述べたと朝鮮中央通信が伝えた。

公開写真や映像から指導者の本心を読み取ろうとするより、外交演出として読むほうが自然だ。6月9日に配信されたAP通信の記事は、北朝鮮政府提供写真について、独立記者の現場取材アクセスは閉じられ、内容の独立検証には限界があると注記している。

つまり、見るべきは笑顔そのものより、北京と平壌が世界に見せたかった親密さである。「不変」をわざわざ強調しなければならない時点で、実際の力関係はすでに揺らいでいる。

北朝鮮は「厄介な防波堤」だった

中国にとって北朝鮮は、米軍との直接対峙を避けるための緩衝地帯である。

朝鮮半島北部に友好国があることで、米韓同盟の圧力を中国東北部の国境から遠ざけられる。6月5日に配信されたロイターの記事は、北朝鮮を中国にとって唯一の正式な条約同盟国と位置づけている。防波堤であり、火薬庫でもあるという二面性が中朝関係の核心だ。

北朝鮮の核・ミサイル開発は、日本、韓国、米国の安全保障協力を強め、国連安全保障理事会(UNSC)の制裁を招く。中国は平壌の暴走を嫌う。しかし北朝鮮を追い詰めすぎれば、体制崩壊、難民流入、朝鮮半島北部への米国の影響力拡大という別の悪夢が生まれる。

かつて北京は、この矛盾を「支えるが、抑える」という立場で処理してきた。燃料、食料、国境貿易、安保理での拒否権を通じて、平壌を一定の範囲に収める。その前提は、北朝鮮にとって中国がほぼ唯一の大国の後ろ盾だったことにある。いま、その前提が緩んでいる。

イスラエルとイランの戦争のイメージ
写真=iStock.com/Sunshine Seeds
※写真はイメージです