米、英、台、韓の技術を結集したチップ
エヌビディアが発表したRTXスパークは、画像処理半導体(GPU)と中央演算装置(CPU)を結合した、新しいタイプのPC向け半導体(プロセッサー)だ。これまでの競合するチップに比べ、電力消費性能、演算性能で優位性が高いといわれている。
現在、エヌビディアは、AIデータセンター向けGPUで90%以上のシェアを持つ。RTXの開発にあたりエヌビディアは、英アームの規格に準拠したCPUの設計を主導した。GPUとの接続、データの制御など実際のCPU開発は、台湾のメディアテックが担当した。
GPUとCPUの製造は、世界最大のファウンドリー(半導体の受託製造企業)である台湾積体電路製造(TSMC)が担当する。データを一時保存するDRAMは、韓国のSKハイニックスやサムスン電子、および米マイクロンテクノロジーが供給したようだ。
RTXスパークの威力を確認するには、今日のPC向けCPU市場のシェアとその機能を確認するとよい。まず、現在のパソコン(ノート、デスクトップ)向けのCPU市場は、インテルがトップ、AMDが3割近いシェアを持つ。2強体制が続いている。
「AIが動かすデバイス」へ進化
今日のPC向けCPUは、インテルの規格に準拠している。1978年インテルは8086プロセッサーを開発した。左の二つの数字をとって、インテルの規格をX86と呼ぶようだ。その後、かつてのAMDはインテルのCPUの製造を担い、X86規格のチップ生産を認めた。インテルはAMD以外にX86規格のチップ製造を認めていない。これに対して、エヌビディアは英アームの設計図を使った。
インテルやAMDの高性能のCPUの場合、GPUを外付けすれば、ローカル端末でAIを動かすことはできる。それに対して、RTXスパークは、単体でPC上でのAI利用ができる。新しい設計図を使い、なおかつ、1つのプロセッサーで、PC上でAIを使える利便性は高い。
しかも、エヌビディアには、CUDA(クーダ)というAI開発プラットフォームもある。この機能をPCに搭載することで、推論モデルの微調整も可能になるようだ。RTXスパークの登場により、PCは人が計算や文書を作成するデバイスから、AIが自律的に作業を行うデバイスへ、その機能は大きく広がる可能性が高い。

