米国が売るのは「持ちこたえる」武器
米誌「Newsweek」(日本版/2025年12月22日)は、記事「トランプ政権、台湾に『約111億ドル』の武器売却承認―─『安定化』のはずが……米中に火種?」の中で、武器の内訳を〈高機動ロケット砲システム(HIMARS)とM109自走榴弾砲で各40億ドル以上、対戦車ミサイルのジャベリンやTOWなどで7億ドル以上などが含まれる〉と具体的に報じている。
聞き覚えのある名前ばかりのように感じられるのは、その多くがロシアと戦うウクライナ軍に対して大量に供与されてきた武器だからだ。以前であれば、台湾への武器売却は、F-16戦闘機などの先進かつ大型の兵器に焦点が当てられていたが、今回はそうではない。「Newsweek」はその理由を、〈武器の携行式、小型化、低コスト化を進めて「非対称戦」能力開発を求めている〉と解説している。
「非対称戦の能力開発」という言葉を、さらに踏み込んで解釈するならば、「(中国軍が)侵攻してきた場合に、その代償を払わせるための武器」となる。つまり、中国軍と対等に戦い、その攻撃を跳ね返し、侵攻を阻むための戦いではもはやなく、軍事力で中国軍に大きく劣る台湾軍が、外から助けが来るまで“何とか持ちこたえる”ための武器であり、相手に少しでもダメージを想像させるための武器ということになる。
皮肉にも、「今日のウクライナは明日の台湾」は、悪い意味で現実になりつつあるのだ。
「我々は戦いたくない。だが戦う準備はできている」
ただ、だからといって、中国がすぐにでも軍事力を行使して台湾統一に向かうというわけではない。中国がそれほど短絡的ではないことは、彼らの言動からも伝わる。
中国人民解放軍の報道官は会見で、今回の「正義使命―2025」の目的を、台湾独立派の動きに対する牽制と外部勢力の介入を阻止するためだと説明したが、その一方で、演習による力の誇示は台湾全体をターゲットにしたものではなく、あくまで一部の危険な勢力に対するメッセージだと、わざわざ付け加えている。
また演習の期間中、中国軍はスローガンを掲げたポスターを何枚も出しているのだが、その一つにはこんな一文も見つかる。
「我々は戦いたくない。だが戦う準備はできている。演習は台湾同胞に向けられたものではない。しかし分裂の動きに対しては容赦しない」
日本の主要メディアの報道に慣れきった日本の読者には、「中国が平和統一を望んでいる」と説明されても、にわかには信じがたいだろう。だがそれは日本のメディアが、中国側の発する強いメッセージばかりを報じ、こうした意図を無視してきたからである。台湾問題を少し遡れば、中国が一貫して平和統一への道を探ってきた一面が見えてくるのだ。
