情動経験の大切さ

それは、いまの子どもだけではなく、モンスターペアレントとなりうる親世代の“経験不足”に起因する問題なのかもしれない。

秋田先生は「小さな挫折を積み重ねて、自分の感情をコントロールできるように育つこと」の大切さを説いた。日本では、いつしか小さな挫折の積み重ねが難しい社会になっていたのではないか。

向かい合って言い争う2人の人物
写真=iStock.com/years
※写真はイメージです

「それは情動経験が乏しくなり、他者の感情を推測する力がなくなっているからかもしれません。かつてはコミュニティのなかで顔が見える人間関係のなかで、情動経験を重ねられたが、いまはそうした場が減ってしまいましたからね」

情動経験とは、喜びや怒り、悲しさ、恥ずかしさ、悔しさなどの感情を単に知識として知るのではなく、実際の出来事を通して体験することだ。

山形県出身の私の子ども時代を思い出す。秋田先生が語ったように顔が見えるコミュニティで煩わしくも濃密な人間関係のなかで育った。しかし、いまは住民の顔もわからない都会のマンションで暮らしている。

そんな環境で育つKにとって、仲間はずれという痛みはこれから重ねるべき大切な情動経験のひとつなのだろう。そして、そんなKの姿に戸惑った私自身もまた、父親として、ひとつの情動経験を重ねられたのかもしれなかった。

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