世界80社の中に日本企業は3社のみ
こうした世界的な大きな変動の中における1エピソードに過ぎない変化として、日本企業のランキング首位がトヨタ自動車からソフトバンクグループに交代した事態をとらえる必要がある。
日本企業の位置づけを探るため、図表3をもう一度振り返るとITビッグ5に続いて、台湾や韓国の半導体企業が上位に食い込むようになっており、それと比べると日本のソフトバンクグループが躍進したとはいえ、なお、48位に顔を出した程度にすぎない。
逆に、生産台数などで世界トップを誇る自動車企業であるトヨタ自動車は52位から70位へとランキングを低下させてしまっている。
日本におけるランキングの変化が世界経済の中における日本経済のダイナミックさをあらわしているとは到底言えない状況である。
また、なるほど、世界経済を騒がしている程度を測る指標としては時価総額ランキングには大きな意味があろうが、世界経済を実質担っている企業ランキングとしてはかなり問題がある点も忘れてはいけないだろう。
最後に、企業ランキングの指標としての時価総額が持つ意味について、考察して本稿を締めくくろう。
ランキング指標は従業者数、売上高から時価総額へ
時価総額は企業の株価に発行済み株式数をかけて算出する。市場からの企業の評価を示す指標として投資家などから重視される。しかし、企業ランキングの指標としてこれほど重視されるようになったのはそれほど前からではない。
企業ランキングで重視される指標自体が時代とともに変遷してきている。
企業ランキングの指標として、かつて(私の若い頃など)は従業員数が重視された時代もあった。少人数だが多くの資金を動かす高収益の企業を大企業とは呼べず、全国に立地する工場に多くの従業者を抱えている企業こそが大企業と考えられていた。
生産年齢人口の比率が高かった高度成長の時期には国民経済の屋台骨をなす雇用先としてのスケールが重視されたのである。
一方、経済が成熟し消費生活の重要性に目が向けられるようになると、全国的なスーパーチェーンなど売上高規模が大きな企業ほど国民生活を支える企業として重視されるようになる。それとともに企業ランキングの指標として売上高が取り上げられることが多くなった。
さらに、グローバリゼーションが進み経済が一国内で完結せず、工場の海外移転や資本の海外進出が当たり前となり、同時に、経済の成熟化がさらに進展して、社会保障財源の重要性が増すにつれて、海外投資の収益も含めて、税収の源泉となる企業収益の大きな企業ほど、社会への貢献度が高い企業として大きな評価を得ることになる。
ただし、利益は毎期、毎年の変動が大きいので安定的な指標としては使いにくいという弱点を有し、指標としては難しい面もあった。

