入浴は効果的だが、熱すぎる湯はNG
日本人はお風呂好きで有名ですね。
元野球選手の松井秀喜氏が大リーグに挑戦するために渡米した際、住まいを決めるのにずいぶん手間取っていたようです。それは、「体を伸ばして入れる湯船のついたバスルーム」を求めていたからでした。
欧米人の多くは、寒い冬でもシャワーだけで済ませてしまうことが多く、日本人のように湯船につかる習慣がないので、高級マンションでもなかなか松井氏の希望に沿わなかったのでしょう。
しかし、松井氏のこだわりは正解で、湯船にゆっくりつかることは1日の疲れを取り去るためにとても効果的なのです。
ただし、入り方は重要です。熱い湯だと、体温が急激に上がってかえって体を傷めてしまうことがわかっています。
どういうことか説明しましょう。
私たちが普通に「熱を測りましょう」と言うとき、体の表面の「皮膚体温」を指しています。もう一つ、外科手術を行うときなどに重視される「深部体温」というものがあり、「直腸温」とも呼ばれます。以前は直腸で測っていたこの深部体温を、最近、耳で計測することができるようになり、いろいろな研究が可能になってきました。
私もチームを組んで、お風呂に関するある実験をしてみました。ぬるめのお湯と熱めのお湯で、それぞれ体にどのような影響が出るのかを調べたのです。
お風呂の温度は42度より、39度がいい
具体的には、39度と42度の湯温のお風呂を用意し、それぞれ10分間、被験者に入ってもらいました。そして、深部体温の変化を測定すると同時に、採血をして血液の状態を調べました。
まず深部体温についてですが、39度のお湯に入った場合はゆっくり上がっていきました。一方、42度のお湯では、急激に上がり、あっという間に40度を超えてしまいました。
42度のお湯では汗のかき方も激しかったために、脱水症状が進行していたと思われます。その証拠に血液の流れもどろどろになっていました。
ところが、39度のお湯に入った被験者の血液はさらさらと流れていたのです。
高齢者が自宅で突然に亡くなるとき、その場所は断トツで「お風呂」が多いのです。高齢者ほど熱い湯が好きな傾向にある上、脱水症状に陥っても気づきにくく、血液どろどろ状態で脳梗塞などを起こすことが多いからです。
こうした危険は、高齢者に限ったものではありません。くたくたに疲れ切っていたり、お酒を飲んでいれば同様の状態にあると考えていいでしょう。

