開発業者は「途方もない主張」と一蹴

もっとも、開発業者側はこれらの主張を全面的に退けている。

開発を手がけたリバーウォーク・イースト・デベロップメンツLLCの広報担当者が、氏名は伏せたまま声明を出した。米CBSニュースが伝えている。

この広報担当者は管理組合の主張を、「根拠がなく、組合側が自らの義務を果たしていないことから目をそらすためのものだ」と一蹴。続けて、「究極のラグジュアリーを実現するため、業界で最も経験豊富なサプライヤーと提携した。その成果が、マイアミのスカイラインを一変させた壮麗な建物だ」と、建物の品質への絶対の自信を覗かせた。

「訴訟を続けることは住民の最善の利益にならない可能性がある」と牽制したうえで、「法的手続きが公正な結果につながると確信している」と結んでいる。

対照的に、1月の詐欺・自己取引訴訟では、開発業者側は沈黙を貫いている。マイアミ・ヘラルドが報じるところでは、コトー氏の事業会社、開発業者本人、アストンマーティン・レジデンスのいずれも、同紙からのコメント要請に応じなかった。

ブランド名に品質が見合わなかった

アストンマーティン・レジデンスをめぐる混乱を受け、マイアミで急拡大する「ブランデッド・レジデンス」という高級ブランドの名を冠した住宅形態の在り方に、いま疑問が投げかけられている。

ブランデッド・レジデンスとは、高級ブランドの名を冠した住宅だ。マイアミ・ヘラルドによると、サウスフロリダではアルマーニやポルシェといったブランド名を冠したコンドミニアムがこの10年で急増し、いまやマイアミは世界有数の建設地となっている。

そもそも、ブランドが買い手に約束していたのは何だったのか。マイアミ・ヘラルドが報じるところでは、2020年、このタワーでは、コンドミニアム1戸を購入すると約17万6900ドル(約2820万円)相当のアストンマーティン車が付いてくるキャンペーンが打たれた。当時の住戸価格は、530万ドル(約8億4500万円)から。ブランドの世界観を丸ごと売るという販促の発想だったのだろう。

ヘイバー氏は、「住民を失望させたのはアストンマーティンではなく開発業者だ」と指摘する。リアルター・コムの取材に対しても、管理組合がブランド側の了承のもとで品質基準の回復に取り組んでいると明かした。あくまでブランドとの関係を守りつつ、施工の責任は開発業者に問う構えだ。

実際、フロリダ州デイトナビーチでは、別の開発業者であるヴェイラー・リアル・エステート・デベロップメントがアストンマーティンの名を冠した住宅を開発中だ。東京やドバイでも計画がある。これらのプロジェクトでは現状、類似の品質問題は報じられていない。

ブランデッド・レジデンスでは一般に、ブランド側がデザインや名称をライセンスし、施工・管理は開発業者が受け持つ。購入者がブランド名から品質を期待するのは当然だが、場合によっては現実との乖離があるようだ。

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