豪華な施設・サービスは幻だった…

「私たちのデザイン言語は美しさと誠実さと、そして調達する資材の信頼性に基づいています」と、アストンマーティンのチーフ・クリエイティブ・オフィサー、マレク・ライヒマン氏は、2024年4月の完成発表時のプレスリリースで胸を張った。

だが、建物の躯体や水回りで相次いで発覚した施工不良と並んで、購入者は約束された豪華な設備とサービスが欠如していることに気づかされることになる。

約束されていたアメニティは、プライベートマリーナにヘリパッド、そしてビーチクラブの専用利用権。さらにはマイアミ沖のキー・ビスケーン島にある「リッツ・カールトン・キー・ビスケーン」のビーチへのフェリー送迎まで謳われていた。

アメニティ空間は、4つのフロアにわたって約4万平方フィート(約3700平方メートル、テニスコート約14面分)超に及ぶとされた。専属の執事に、スパ、サウナ、ビューティーサロン、理髪店、アートギャラリー、そしてはるか下界を見渡すインフィニティプール。これらがすべて揃うと公式の物件説明には記されていた。

だが、米不動産情報サイトのリアルター・コムによると入居した購入者たちは、事前に約束されたこれら設備のほとんどが未提供であると訴えている。

キー・ビスケーン島のクランドンパークのビーチ
キー・ビスケーン島のクランドンパークのビーチ(写真=Paulkondratuk3194 at en.wikipedia/CC-BY-SA-3.0/Wikimedia Commons

新築なのにリフォームする住民も

専属執事サービスに惹かれて購入を決めた住民の一人、キース・スワースキー氏は、CBSニュースの取材で、「執事は一度たりとも現れなかった」と振り返る。入居したときの自室の様子についても、「床一面に水のシミとプールの水が広がり、窓は汚れてシミだらけだった」と語る。

管理組合理事長のマイケル・ディアス氏も、入居後、自室を住むに足る水準まで仕上げ直すため、自費を投じた一人だ。ビズナウの取材に、同じ境遇の住民は少なくないとも話している。

ディアス氏はリアルター・コムの取材に、「これは私たちが対価を払って手に入れるはずだったものではない。買えると思って買ったものでもない。あなた方は、まったく別物を売りつけたのだ」と憤りを隠さない。

こんな逸話もある。同じくリアルター・コムによれば、ディアス氏がリッツ・カールトン・キー・ビスケーンの責任者にフェリー送迎の件を問い合わせたところ、「フェリー(ferry)の話で唯一正しかったのは、それがおとぎ話(fairy tale)だったことだけ。それ以上でもそれ以下でもないですね」と返されたという。