調査会社が「即時の人命問題」と認定
バルコニーの端部では、スラブ(コンクリート床板)の侵食と剥離が同時に進行。ビズナウは、剥離しかけたコンクリート片が今後も、数百フィート(約60メートル以上)下の道路に落下する恐れがあると伝えた。
管理組合が依頼した調査会社「エピック・フォレンジクス&エンジニアリング」は、この状態を「即時に人命・安全に関わる問題(immediate life safety issue)」と認定した。
組合側弁護士のデイビッド・ヘイバー氏は、「スポーリング(コンクリートの剥落)は、どんな高層ビルでも起きてはならない」と強い口調で警鐘を鳴らす。「ひび割れが数カ所あるのはまだしも、コンクリートが建物から落ちかねないというのは、普通ではない」とも続けた。最悪の場合、通行人に重篤な事態が生じるおそれも想定される。
当面の対策として、剥離しかけたコンクリート片が除去された。だが本格的な修繕は急務だ。本来は開発業者が負うべき応急処置の費用までも、管理組合がすでに立て替えている。
内外から建物を蝕む「水問題」
管理組合は今年4月15日、開発業者リバーウォーク・イースト・デベロップメンツをはじめ、施工に携わった計17社を相手取り、マイアミデイド郡巡回裁判所に提訴した。設計・施工の過失と建築規制違反を問い、75万ドル(約1億2000万円。2026年6月3日現在のレート、1ドル159.93円で換算、以下同)以上の損害賠償と修繕の実施を求めている。修繕費は最終的に、数百万ドル規模に膨らむ見通しだ。
管理組合が提出した訴状では、施工業者「コースタル」が、プール、スパ、水景施設の設計・施工・検査を適切に行わなかったと指摘されている。
ビズナウが伝えた訴状の内容によれば、その結果としてこれまでに、漏水、鉄筋および構造部材の腐食、そして建物内部への水の侵入が生じている。生活を豊かにするはずだったプールに起因して、建物の構造が見えない場所からじわじわと蝕まれつつあった。
水との戦いは、プールやスパだけではない。建物の海側でも、別の不具合が静かに進行していた。
ビスケーン湾に近い同高層マンションは、塩分を含んだ風と水に絶えずさらされる。タワーの足元を守るはずのシーウォール(護岸壁)でも、ひび割れと腐食が進んでいた。
エピック社の調査でも、米CBSニュースが伝えた組合側の技術者報告でも、この護岸の損傷は、早期に修繕を要する深刻な欠陥であると指摘されている。海辺に立つ高級タワーマンションの宿命的な弱点が露呈した形だ。プールと併せ、建物の内外両方から水の問題を抱えていることになる。

