東日本大震災で証明された実績
約2万人の命を奪った2011年の東日本大震災。その激震のさなかでさえ、新幹線で死傷した乗客はゼロだった。鉄道の安全対策の専門家たちがこの実績を「驚異的」と評している、と米公共ラジオ国際ニュース番組のワールドは伝える。
安全性を支えているのが、多重に設けられた防災の仕組みだ。ワールドの取材に対し、JR東海国際部の田中裕一郎副部長がその全容を語っている。
それによると、沿岸部と線路沿いに設置された地震計が、地震の初期波(P波)を捉える。大きな揺れが届く前に、収集されたデータはシステムへ送られ、地震動が自動で解析される。結果として警報が出ると、変電所からの送電が遮断され、対象エリアの全列車が停止する。
こうした防災体制を、海外の専門家も高く評価する。米サンノゼ州立大学ミネタ交通研究所・国家交通安全保障センター副所長のフラニー・エドワーズ博士は、2年以上にわたり日本で鉄道の安全対策を研究してきた。ワールドの取材に対し、日本の地震安全プログラムは「世界最高水準の一つ」であると評価している。
特に重視される輸送の安全性
オーストラリアのような先進国にあって、特に重視されるのが輸送の安全性だ。日本の技術は、この点で抜きん出た実績がある。
ドイツのICE、フランスのTGV、中国の高速列車、日本の新幹線と、世界の技術先進国がそれぞれの高速鉄道を運行している。だが、安全性に目を向ければ、その実績は一様ではない。新幹線は開業から60年にわたり、列車事故による死者ゼロの実績を保つ。一方、欧州と中国では重大事故が現実に起きている。
1998年、ドイツ北部で起きたエシェデ鉄道事故。BBCの報道によれば、高速列車ICEが脱線・衝突し、100人が死亡、88人が重傷を負った。
ドイツ鉄道監督当局が連邦議会に提出した中間報告書では、車輪の破損が最も可能性の高い原因であると結論づけられた。車輪が破損したことでまず1両が部分脱線し、これが橋に衝突したことで、橋の崩落に至ったという。
鉄道利用者の代表団体は、車内監視システムと点検体制に不備があったと批判した。モニタリングが徹底されていれば事故は防げたはずだ、と。
一方、中国でも重大事故が起きている。米NBCニュース部門のNBCニュースによると、2011年、浙江省温州市近郊で先行列車が落雷により停電。後続列車を自動停止させるはずの電子安全システムが機能を喪失し、高速列車が停車中の先行列車に追突した。中国当局の最終発表によれば、この事故で40人が死亡した。

