ユッケはなぜ生でも大丈夫なのか
もちろん、すべてのレアハンバーグを一律に危険と決めつけることはできません。店舗によって衛生管理や加熱管理の方法は異なります。ただし、ハンバーグがひき肉料理である以上、中心部まで十分に火を通す必要があるという基本は変わりません。
牛肉を生で食べないほうがいいと言うと、「ユッケのように、生で提供される料理もある」と反論されるかもしれません。
ただ、ユッケ用の牛肉は生で食べられるように特別な管理のもと流通しています。
日本では、2011年のユッケによる集団食中毒事故をきっかけに、生食用牛肉の規格基準が強化されました。
現在、生食用牛肉には、専用設備・専用器具の使用、温度管理、肉塊表面の加熱殺菌など、通常の加熱用牛肉とは異なる厳格な衛生管理が求められています。
厚生労働省が公表している「生食用食肉(牛肉)の規格基準設定に関するQ&A」には、「肉塊の表面から深さ1cm以上の部分までを60℃で2分間以上加熱する方法」、または「それと同等以上の殺菌効果を有する方法」などが示されています。
つまり、「生で食べられる牛肉」と「加熱して食べる前提の牛肉」は、そもそもの扱いからまるきり違うのです。
「生食用の肉だからOK」ではない
さらに、生食用として適切に加工された牛肉であっても、ひき肉にすれば菌が全体に混ざるリスクがあり、「生食用の肉ならレアハンバーグでも安全」とは言い切れません。
また、「国産」「ブランド牛」「高価な肉」だから安全というわけでもなく、衛生管理や加熱管理が不十分であればリスクは残ります。
注意したいのは、ハンバーグだけではありません。
見た目はステーキや焼肉用の一枚肉のように見えても、成形肉、インジェクション加工肉、ジャガード・テンダライズ処理肉、タンブリング処理肉などは、加工の過程で、菌が内部に入り込む可能性があります。
これらは外見だけでは通常の一枚肉と区別しにくいため、販売時に「中心まで十分に加熱」すべき旨の表示が必要とされています。
外見上、通常の一枚肉と区別しにくいため、販売時に「中心まで十分に加熱」すべき旨の表示が必要とされています。成形肉などと表示されている商品は、生っぽい状態を避け、中心部まで加熱して食べることが大切です。
「中心温度75℃で1分間以上」の加熱が目安
家庭でハンバーグを作る場合も、食中毒対策の基本は同じです。
ひき肉を使う料理は、中心部までしっかり火を通すことが大切です。表面だけが焼けていても、中が赤いまま、あるいは肉汁が赤いままの場合は、再加熱したほうが安心です。
おいしく火を通すコツは、タネを厚くしすぎないこと。家庭なら1.5〜2cm程度にすると失敗しにくいでしょう。
ハンバーグの表面が焦げそうな場合は蓋をして蒸し焼きにしたり、煮込みハンバーグにしたりするのもおすすめです。
より確実に確認したい場合は、中心温度計を使うのも有効です。中心温度75℃で1分間以上、またはそれと同等以上の加熱を目安にするとよいでしょう。
また、調理中の二次汚染にも注意が必要です。生のひき肉を触った手や調理器具で、そのままサラダや加熱後の食品に触れると、菌が移る可能性があります。
肉を触ったあとは手を洗う。まな板や包丁、ボウルなどはよく洗浄する。生肉を置いた皿に、焼き上がったハンバーグを戻さない。
こうした基本的な積み重ねが、食中毒を防ぎ安全においしく食べることにつながります。

