移民が増えているイタリアで、とある条例が話題になった。イギリス在住で著述家の谷本真由美さんは「排他的政策の不条理を強調するための条例だったが、狙いとは違った反応が起きてしまった」という――。
※本稿は、谷本真由美『世界のニュースを日本人は何も知らない 激レア&ディープ情報版』(ワニブックス【PLUS】新書)の一部を再編集したものです。
ナポリ郊外の街の「迷惑臭」対策
イタリア南部ナポリ近郊にある街パルマ・カンパーニアの市長は、市域全体で「嗅覚ハラスメント」を禁止する旨の正式な条例を発令しました。
2025年5月6日に署名された本条例案は、とくに食品の準備・調理・保存に従事する事業者、作業場、厨房、個人住宅からの不快な臭いの排出に対し、最大500ユーロ(約9万円)の罰金を科すとされ、「不快な臭い(olfactory nuisances/オルファクトリー・ニューサンスィズ)を禁止する」としたのです。
ケバブ、カレー、ベンガル料理などの異国料理の匂いが「町を汚す」として対象になっています。
この条例、実はパルマ・カンパーニアの大規模なベンガル系コミュニティ(約2000人)を対象としていると解釈されました。ベンガル系とはバングラデシュおよびインドの西ベンガル州周辺の人々で、イスラム教とヒンズー教が混ざっています。
なぜこうした人々を対象としていると解釈されたのか。ベンガル系の人々の移民の歴史からご説明しましょう。

