年収は聞きづらい、学歴なら大丈夫
「相手の年収はなかなか聞けませんけど、学歴って話の流れをうまく持っていけば、必ず聞けますよね」
と、知り合いの子どもの学歴について必ず探りを入れるというSさん(58歳・専業主婦)。「私の妹の息子は大学行かなかった。お隣の家のお子さんの大学は東大。うちですか、うちは慶應大学です……」。
結局自慢がしたかったのか。ママたちの井戸端会議や電話での会話は、他人の子どもの噂話で盛り沢山。Sさん自身もかつては強烈な教育ママであり、子どもの学歴にコダワリを持ってきた。現在では3浪して念願の慶應大学商学部に入学した息子も就職し、悠々自適な趣味生活をエンジョイしている。しかし、現在でも誰かに会うたびに学歴をさりげなく聞きだし、熱心にチェックする学歴マニアである。
「まず大学生時代の話を振るんです。それはサークルでも部活でもいいのです。そうやって思い出を語らせていくうちに、自然な流れとして大学の所在地の話となります。そして結局は大学名を知ることができます。年収は、相手の年齢と会社名からわかる人にはわかるのかもしれませんが、難しい。別に聞いたから得するということではないのですが、なぜか気になるのです」
個人の年収は一般的に秘密にされがちだ。一方、年収と比べて学歴はオープンにしていい雰囲気がある。だからこそ、多くの子どもを持つ親は学歴に対して並々ならぬ執着心を発揮するのだろう。たとえば、前述の学歴マニアのSさんのようなケースでは日常の会話から話し相手の夫や子どもの学歴を探りあてて、勝手に心の中で悦に入ったり、嫉妬心を燃やしていたりする。
また、親自身が自分と子どもの出来を比較するための客観的な指標として学歴を利用することも一般的だ。親にとって子どもの学歴とは、自分自身の子育てに対する客観的評価なのかもしれない。反対に、子どもにとっては、高学歴を期待する親からの圧力は自己の存在を否定されかねない重圧となってのし掛かってくる。
では、親の最終学歴によって子どもに求める最終学歴には違いがあるのだろうか。子どものいる男女2000人に調査を実施した。