政権を支える「長年の側近」
たとえば、未確認情報ではあるが、2026年5月に入り、複数の反政権派メディアなどが政権内部情報として報じた内容によれば、イラン政権内でもっとも権力のある「最高指導者室」(「ベイト」と呼ばれている)の「新室長」(最高指導者首席補佐官)に、イスラム聖職者であるサイエド・メフディ・ハムーシ(Sayed Mehdi Khamoushi、推定63~64歳)が就任したと報じている。
前任者はアリ・ハメネイ前最高指導者の長年の側近で、ハメネイ家の縁戚でもある80代のイスラム聖職者だったが、この情報が正しければ、この非常事態の中で世代交代が起きたことになる。もっとも、ハムーシ自身もハメネイ家の縁戚ではあるが。
ハムーシは、父親がもともとホメイニ側近で、その親族には政権上層部、バザール商人有力者上層部などがおり、きわめて強力な人脈を持っているとされる。
またほか、ハムーシ自身は、ハメネイ政権において長期にわたり、政権のイスラム宣伝部門とイスラム財団資金運用部門を率いてきた。
ハメネイ父およびモジタバ師の長年の側近ともいえる人物であり、また、IRGC上層部とも密接な関係にあった。
イラン政界では、モハンマド・バゲル・ガリバフ国会議長と特に親しい。
「黒幕」は一体誰なのか
こうした実績のあるハムーシは、単なるお飾りなどではない。本当に最高指導者室長となれば、今後、イラン政権の上層部で最重要のキーマンとなることは疑いない。
他方、現在のイラン政権で大きな影響力を持つのがIRGCだが、その中でも発言力の強い上層部の人物の名前も徐々に判明してきている。
報道では、現在のアフマド・バヒディ総司令官が頻繫に登場し、あたかもバヒディ総司令官が軍事独裁政権を率いているかのような論調も散見される。
だが、イランの権力機構では、権限がIRGCの総司令官に集中してはいない。
よって、バヒディの権力が、IRGC上層部の中で突出して強いわけではない。
モジタバ師という宗教的権威がいまだ健在なのを見ればわかるように、イランの権力構造は、長年の継続により強固なものとなっている。では、その権力構造における「真の実力者」「黒幕」は一体誰なのか。

