イラン権力構造の「最重要人物」

まず、イランの権力構造の最上位は、「最高指導者室」(ベイト)である。

そこでもっとも実権ある立場を担っているのは、おそらく前述のハムーシ室長だ。

また、ベイトにはモジタバ師を支える官房組織という側面があり、イスラム聖職者やIRGC人脈から実力者が送り込まれている。

その中で最重要人物と言えるのが、最高指導者軍事顧問のモフセン・レザイ(Mofsen Rezaee、71歳)である。

生存している総司令官経験者の最先任で、IRGC人脈での発言力ではトップの人物だ。

モフセン・レザイ
モフセン・レザイ(写真= Ali Khamenei website/CC-BY-4.0/Wikimedia Commons

レザイは、彼がまだ10代だった1970年代後半から、反王政運動に参加していた、根っからの活動家だ。1979年のIRGC創設時から最上級幹部に名を連ねている。1981年に29歳で総司令官に就任し、1997年まで務めた。

ことあるごとに対米強硬論を発信

その後は、ハメネイ政権下で、イスラム体制内の調整機関である公益評議会事務局長を務めた。また、2021年から2年間は副大統領も務めていた。

2023年にいったん政界から退くが、復活して2026年3月に最高指導者軍事顧問に就任した。米国による軍事攻撃という非常事態下で、体制の最重要ポストには、IRGC人脈のトップレベルの実力者を据える必要があったのだろう。

レザイは現在も、ことあるごとに対米強硬論をイラン政府系メディアで発信しているが、IRGC人脈の意見をモジタバ師に伝える立場であり、事実上の黒幕として活動している。

なお、レザイの前に最高指導者軍事顧問だったヤヒヤ・ラヒム・サファヴィ元IRGC総司令官(73~74)(Yahya Rahim Safavi)も、役職から解任されたという情報はなく、その後も軍事顧問を続けているとみられる。

ヤヒヤ・ラヒム・サファヴィ
ヤヒヤ・ラヒム・サファヴィ(写真=Fars News Agency/CC-BY-4.0/Wikimedia Commons

サファヴィは、1997年から2007年まで、レザイのあとを継ぐかたちでIRGCの総司令官を務めている。

その後、2007年からは、19年もの長きにわたり、最高指導者軍事顧問を務めてきた。その間、モジタバ師とも深く連携してきた人物である。