高学歴の若者を絶望させる「残酷な逆転」

公共空間での騒音問題や市場の混乱を引き起こすような行動も、若者の目には「迷惑行為」と映っており、両者の価値観の乖離は深まる一方である。

北京の天壇公園で音楽に合わせて踊る女性たち
北京の天壇公園で音楽に合わせて踊る女性たち(画像=Daniel Case/CC-BY-SA-3.0/Wikimedia Commons

こうした対立は、単なる世代間の意見の違いにとどまらず、教育と富の関係に対する根源的な疑問をもたらしている。若い世代は、長年にわたり教育に時間と資源を投資してきたにもかかわらず、社会的成功が得られないという現実に直面しており、それが大きな挫折感と制度への不信感を生んでいる。

李虎男『中国は覇権を握るのか』(光文社新書)
李虎男『中国は覇権を握るのか』(光文社新書)

一方で、「大媽世代」は教育機会に恵まれなかったにもかかわらず、時代の波に乗って資産を築いた。この矛盾が、世代間の感情的な断絶をさらに深刻なものにしている。

加えて、経済格差が固定化されつつある現状も問題を深めている。不動産価格の上昇により、すでに住宅を所有している世代とそうでない世代の格差は広がり続けている。

若者にとって住宅購入はほとんど不可能に近くなっており、それが結婚や出産といった将来設計にまで影を落としている。親からの経済的支援なしには生活の基盤すら築けない現実が、家族関係に新たな緊張をもたらしている。

世代間格差の是正なしに未来はない

このような世代間対立は、中国社会の持続的な発展にとって重大な障害となる可能性がある。若者の不満は消費行動や労働意欲にも影響を与え、社会全体の活力を低下させかねない。また、価値観の断絶は社会的統合を困難にし、分断の深刻化を招く。

これを克服するためには、住宅政策の見直しや、教育の成果が正当に報われるような制度改革が急務である。さらに、世代間の対話を促進し、互いの立場や経験に対する理解を深める努力も必要だ。

世代間の断絶を超え、共に社会の未来を築くためには、経済格差の是正だけでなく、価値観の多様性を受け入れる文化的な寛容さも求められている。急速な社会変化の中で生まれたこの断絶をどう乗り越えるかが、今後の中国社会の成熟度を問う試金石となるだろう。

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