低学歴なのに巨万の富を築けたワケ
「大媽世代」と呼ばれる中高年女性層に対する若い世代からの批判が、深刻な社会問題として台頭しつつある。この対立の根底には、教育水準が比較的低いにもかかわらず、彼女たちが経済的に大きな成功を収めたという逆説的な状況がある。
若者たちは、自らが高等教育を受け、過酷な競争社会に身を置きながらも、生活の安定さえ得難い現実に直面しており、その一方で、時代の追い風を受けて資産を築いた「大媽世代」に対する強い反感と不信を抱いている。
この中高年女性層は、改革開放の時期に社会人となり、1990年代以降の急速な経済成長の恩恵を受けた世代である。特に社会主義体制下での住宅政策により、職場から無償で提供されたアパートを所有することが可能であった。
その後、中国の都市部で不動産価格が急激に高騰すると、彼女たちの資産価値も連動して跳ね上がり、再開発による立ち退き補償などによって巨額の利益を得ることになった。制度的恩恵と市場経済の転換が重なったことで生まれた、時代的な特権といえるだろう。
こうした資産を元手に、「大媽世代」は株式市場や不動産市場への投資にも積極的に参入し、さらなる富の蓄積を果たしていった。彼女たちの投資活動はしばしば市場に影響を与え、とりわけ金市場では「中国の大媽」の動きが国際的に注目されるほどとなった。
彼女たちの存在は、もはや単なる家計の担い手ではなく、経済を左右する一大勢力であり、このような経済的影響力が若者の反発を一層強める結果を招いている。
不公平すぎる現代の中国社会
一方、現在の若い世代は、住宅価格の高騰や教育費の増大、そして厳しい就職市場という三重苦の中にいる。高学歴でありながらも、住宅を持つことすら困難な状況に直面し、多くは「996」(朝9時から夜9時まで週6日働くという過酷な労働慣行)と呼ばれる過酷な労働環境で働いている。
こうした現実の中で、制度の恩恵によって資産を築いた「大媽世代」との経済的格差は、単なる世代間の違いを超えた、構造的な不公平として捉えられている。
さらに深刻なのは、そうした恩恵を受けた「大媽世代」が、依然として社会的発言力を持ち続けている点である。
彼女たちは広場ダンスや集団投資などを通じて社会に影響力を持ち、時に若い世代に対して保守的な価値観や行動規範を押しつけることもある。これに対し、自由や多様性を重んじる若者たちは強い違和感を覚え、SNSなどを通じて彼女たちを風刺・批判する動きが拡大している。

