なぜ彼女たちは集団で暴走するのか
1977年に大学入試制度「高考」が復活したが、「大媽世代」はすでに小中高教育をまともに受けられなかったため、実際には大学教育を受ける機会は失われていた。
2018年の調査では、「大媽世代」の年齢層で大学教育を受けた比率はわずか3%に過ぎず、これは現在の若い世代の50%以上という大学進学率と比較した際に、極めて深刻な教育格差を示している。
この教育機会の剥奪は、単に知識量の差異にとどまらず、論理的思考能力、批判的分析能力、そして多様な価値観への理解力の形成に決定的な影響を与えた。
教育の空白は、現代中国社会における知識と価値観の断絶を生み出した。教育を通じて培われるべき批判的思考や独立した判断力が十分に発達しなかった結果、権威への妄従や集団主義的傾向が強く残存している。これが現代の若い世代との価値観の衝突を生む根本的な原因となっている。
さらに重要なのは、この世代が形成期に経験した集団主義的価値観である。文革時代には個人の自由な思考や独立した判断は「ブルジョア的傾向」として厳しく批判され、集団への絶対的な服従と画一的な思考が要求された。
当時の都市部では職場ごとに四つの共同、すなわち「共同勤務、共同居住、共同生活、共同食事」が厳格に適用され、個人の生活のあらゆる側面において集団意識を徹底的に培うシステムが構築されていた。現在の広場舞も、この歴史的背景と無関係ではない。
毛沢東が植え付けた「一生消えない恐怖」
文革時代には毛沢東への忠誠を表現する「忠字舞」が中国全土で集団的に踊られていた。紅衛兵が緑色の軍服に赤い星の帽子をかぶり、片手に赤い『毛沢東語録』を持って革命歌謡を歌いながら踊る集団舞だった。当時最も有名な歌謡『東方紅』の歌詞は「東が赤くて、太陽が昇る。中国には毛沢東が出現した。彼は人民のために幸せをもたらす。彼は人民の大救星(救世主)」というものだった。
この世代にとって集団からの排除は人生最大の恐怖であり、集団への所属と集団内での承認こそが自己実現の根本的な基盤となった。60歳を過ぎた今でも、広場や公園で集団的に踊り、集団的に金を買い入れ、不動産投資を行う行動パターンは、文革時代に深く刻み込まれた集団主義的価値観の現代的な表現なのである。
こうした集団主義的行動様式は、個人の自由と多様性を重視する現代の価値観とは相容れない側面がある。しかし、先に挙げた歴史的背景を理解することなしに、現在の「大媽現象」を単純に批判することは適切ではない。彼女たちの行動は、特殊な時代環境が生み出した価値観と生活様式の産物であり、現代中国社会の複雑な層を理解するための重要な手がかりでもある。

