東大入試で「問われている力」

じつは、東京大学の現代文の入試問題を含め、国語の読解問題で問われている力も、まさに「推理読み」です。

東京大学の安田講堂
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そして、私たち大人も無意識に「推理読み」を体験済みだということです。

このノウハウを日常の読解にも活かしていくと、難しい文章でも、速く読み進めます。

そしてこれは、経験値を高めることで、どんどん要領を得るスキルです。

まずは「わからない箇所は飛ばして、先をどんどん読み進めていこう」という意識で読解に当たることをおすすめします。

そうはいっても、読み進めるうちに、理解できない箇所が多くなりすぎて、「何の本だったのかわからなくなってしまった」なんていうことがあるかもしれません。

そんなときには、項目ごとでもかまわないので「だいたいこういう内容のことが書いてあった」とメモなどしてみるのも効果的です。

書かずに頭の中で確認するだけでも効果はあります。少しずつでも「この項目はこんなことを言いたいのかな」と自分なりの理解を確認していくのです。

そうすることで、その先を読み進めるときにも「私の解釈は合っているのかな?」という視点をもつことができ、理解の確認・修正もしやすくなります。

読解術はビジネスに応用できる

さて、冒頭の質問をしてきた生徒に、「わからないところは『推理読み』」の手法を伝えてどうなったと思いますか?

見事に「わからないことは当たり前」というマインドができあがったため、「理解できないこと」に執着しなくなりました。

その結果、わかるピースをつなげて、わからないところに入るピースを予測する習慣がついたのです。そして、「ここはこういうことだよね」と、理解できる箇所が浮き上がって見えるようになりました。

こうして、「文章がわからなくて不安」という気持ちがなくなり、現代文の文章問題にも抵抗感や苦手意識なく取り組むことができるようになったのです。

これは慌ただしい日々のなか、分刻みで読解せざるを得ないビジネスパーソンにおいても、応用していただけるスキルなのではないでしょうか。

このスキルにより、生徒たちは、文章を読むことががぜん楽しくなり、現代文のテストの点数もぐぐっと上がりました。大学入試では現代文の「読むスキル」が貢献し、見事合格を勝ち取ったというわけです。

読解も人生も「何を当たり前にするか」ということが、とても大事なのですね。