アメリカの有権者は「トランプ=噓つき」
イランにとって「天祐」となっているのは、最近の米世論調査の結果がいずれもトランプ氏の不人気を示しており、中間選挙での民主党勝利を示唆する結果となっていることだ。
米ワシントン・ポスト紙とABCニュースが、米有権者2560人を対象に4月24~28日にかけて合同で実施した世論調査では、61%の回答者が「対イラン開戦は間違いであった」と答え、「イランにおける戦争は上手くいっている」としたのは19%に過ぎなかった。
経済政策の失敗も、トランプ氏にとって不利に働いている。全米の平均ガソリン価格は、開戦前の1ガロン当たり2ドル台から、5月7日には4ドル56セントへ1.5倍まで急騰し、生活者を直撃している。
英ロイター通信と世論調査イプソスが4月に実施した調査では、ガソリン価格上昇について回答者の77%が、「トランプ大統領に少なくともかなりの責任がある」と答えた。
また、米CBSニュースが5月13~15日に全米2064人の有権者を対象に実施した世論調査では、「トランプ大統領のインフレ対策を評価する」とした回答者の割合が27%と、トランプ政権発足直後の2025年3月に記録した46%から20ポイント近くも下落している。
さらに、燃料費の高騰が食品価格や生活必需品に波及するのは、時間の問題だと多くのエコノミストは考えている。
物価を下げるという公約を掲げて当選したトランプ氏だが、インフレを再燃させたことで多くの有権者から「嘘つき」と見られているわけだ。
民主党回帰の傾向がみられるが…
トランプ大統領への不満は共和党支持者の間でも高まっている。保守系のFoxニュースが4月17~20日に1001人の有権者を対象に実施した調査では、政権の経済運営を支持する共和党支持者はわずか34%にとどまった。身内からの支持も弱まっている中、中間選挙の行方には暗雲が垂れ込めているように見える。
事実、ワシントン・ポスト紙とABCニュースの調査では、トランプ大統領の不支持率が実に62%と、2期目の任期中で最悪となった。一方、支持率はわずか37%であり、2月の調査時の39%からさらに2ポイント低下している。
英ロイター通信のリチャード・コーエン記者は、「中間選挙で弾劾や憲法修正第25条による大統領解任という言葉を使うかどうかにかかわらず、民主党の候補者はイラン戦争と物価上昇を関連づけることが勝利を引き寄せるという見方で一致している」と指摘した。米世論のトランプ離れが進む中、各種世論調査では、顕著かつ決定的な民主党回帰の傾向が見られる。

