力の弱いメスにも拒否権がある
ではメスの外性器はどうか。メスはいつも短い尾で膣口を隠しているから、なかなか見られない。登別ヒグマ牧場で学術課長だった前田菜穂子氏によれば、ヒグマのメスは、粗暴だとか容姿が良くないオスグマが交尾を要求すると、尾で膣口を閉じて拒否するそうだ。野生下のツキノワグマのオスは強大なため他の若オスは闘争を避けて逃げるが、メスグマは交尾要求を全部受け入れていると思っていた。しかし、それを拒否する気丈なメスもいるのかもしれない。
写真のメスグマの外陰部は膨らんでいて発情期らしい。腰回りがオスより太い。
地面や木に体をこすりつけるクマ
クマは悪臭で自分の気配を消している。
1994年5月、棚田の石垣の上を渡って行くと、眼下2メートルの畑で若グマが地面に伏せて、甘ったれたように体をくねらしている。大地に体を投入させるように首筋を地面にすっと擦りつけ、次いで首をもう少し曲げて地面に擦りつける。首のひねりが大きくなり、折れたように曲げる。夏草が広く倒れているので、数分前から続けていたらしい。
次に擦ったとき、鼻の穴が大きく広げられていた。
私が飼っている犬たちも、山の中でこういう動作をすることがある。とんとん軽快に走っていたものが、すとんと寝て首を地面に擦りつける。時には犬の首にヤマドリのフンが擦りつけられていて、それは悪臭紛々で、やめろと言い聞かせても、犬たちはこれをやる。このクマも、ヤマドリのフンを首に擦りつけていた。この動作の意味は、自分の臭いを消すことによって他の動物に警戒されないようにするものだ。


