減配が予想された、3つの理由

もっとも、今回のタマホームの減配は、ある程度は予想されていたことではありました。その理由は、大きく3つ。

1つ目は、業績の悪化。

業績悪化によって利益が落ち込めば、(原則として、利益が元となる)配当金の支払いは怪しくなるのは当然です。

タマホームはローコスト・高品質住宅を売りに、約10年前から急激な増収増益モードが続いていたのですが、2~3年前をピークに業績は落ち込み始めていました。そう、タマホームの業績悪化はいまに始まったことではなかったのです。

とくに2025年5月期の利益は前年から大きく落ち込み、そして、昨今のインフレや人材不足といった逆風からも、今後の業績見通しも不安視されています。

黒板に右肩下がりの棒グラフを描いている手元
写真=iStock.com/takasuu
※写真はイメージです
2つ目は、配当性向の異常な高さ。

配当性向とは、利益のうち、どれだけの割合を配当金に回したのかの割合で、一般的には、30%程度が目安とされています。それがタマホームの配当性向は約380%(2025年5月期)と、異常なまでの高さとなっていました。

配当性向が100%を超えているということは、その年の利益では配当金は賄いきれず、それまでの利益の蓄積を食いつぶしている状態です。これは異例とも言える状態で、通常、それが何年も続くとは考えづらいわけです。

さらなる利益減が見込まれる2026年5月期も、引き続き多額の配当金を出せば、配当性向はさらに上がることから、これはさすがに減配濃厚かと囁かれていたのでした。

3つ目は、累進配当は掲げていないこと。

累進配当とは、配当金は減らさない、すなわち、配当金は前期と比べ、少なくとも維持もしくは増配をするという配当方針のことです。

この累進配当を掲げている企業では、利益の額にかかわらず、配当金の支払いが最優先とされています。

タマホームは前期(2025年5月期)まで、それまでの好調な業績を背景に、そして、業績に陰りが出てきてからも、長年にわたって(減配はせずに)増配を続けてきましたが、それはあくまでも結果的にであって、この累進配当を掲げていたわけではありません。

つまり、減配はしないという「縛り」は、とくになかったのでした。