ランチは「人と食べる」のが当たり前
EU労働時間指令(EU加盟国に共通する「労働時間・休息」に関する最低基準を定めた法律)は、週48時間の上限と休息時間(連続11時間)などの枠組みを定め、ポルトガルも適用国だ(ポルトガルは原則として1日8時間・週40時間)。
ランチは1時間前後が都市部の標準で、外食の定食(Prato do dia/プラト・ド・ディア)が手頃で迅速なので、“人と食べる”前提の昼休みが維持されやすい。
僕がこの国で好きなのは、人びとが“時間の余白”を大切にしているところだ。コーヒーを飲んで、海を眺めて、ただ風を感じる。それでも一日がちゃんと完結してしまう。日本だと“なにもしない時間”を持つのが難しい。なにかしていないと不安になる。
でもポルトガルでは、なにもしないことが美徳だ。なにもしないことで、人の機嫌がよくなるのを、みんな知っている。
以前、リスボンの友人がこんなことを言った。
「日本人はストレスを溜め込むみたいだけど、ポルトガル人はコーヒーで吐き出すんだよ」
なるほどと思った。エスプレッソの苦味が、ストレスの出口になっているのかもしれない。一日に何度もコーヒーを飲むのは、単なる習慣ではなく、“心のメンテナンス”なのかも?
「お酒でやらかす日本人」との違い
自分自身、ポルトガルに暮らして、カフェなどでコーヒーを飲む回数が明らかに増えた。カフェだけでなく、公園にあるキオスク、ベーカリーなど。いずれもちゃんとしたエスプレッソマシーンがあること、そして1杯1ユーロ(約190円)という安さも大きいが、お店やスタンドに1日に7回、立ち寄ったこともある。
実際、自分の身体はどうなのかというと、ストレスはとても少なくなった。甘いもの、カフェでの休憩の効果かどうか。ファクトベースの提示はできないが、毎日「充実していたな」「明日もがんばろう」と思うことが多くなった。
余談だが、日本だと、お酒を飲んで酔っ払って、いろいろやらかしてしまう人がいるけれど、こっちだとそれはあまり見かけない。友人の旦那さんは、「お酒はソーシャルな場でしか飲まない。コミュニケーションの道具だよ」とも言っていた(とはいえ、ポルトガル人は世界でもっともワインを飲む国民でもあるのだが)。

