不登校の子にわら細工を教える学校を設立

酒井さんは2024年に一般社団法人「わレらの学校」の設立にかかわり、不登校や引きこもりの子どもたちにわら細工を教えている。

取材日は、わレらの学校出身の職人も作業をしていた
取材日は、わレらの学校出身の職人も作業をしていた(写真提供=わらむ)

なぜ子どもの支援が始まったのかを酒井さんに尋ねると、「PTAがきっかけで……」というから驚いた。睡眠を削って土俵をつくっていた人が、その合間にPTA活動もしていたというのだ。「頼まれると断れないんですよ」と酒井さんは照れくさそうに笑う。保護者や教員に「家にいてもわら細工ならできるのでは」と相談されたことから、子どもたちの支援が始まった。

「僕は引きこもりの子って無気力なのかなと思っていたんですが、対人関係が苦手なだけでやる気はあるんですよね。わら細工を教えると、一生懸命に練習するんです。不登校のままだと将来働けないかもしれない不安がある。でも、わら細工が仕事になるかもって希望を持ってやってるんで、すごくいいものをつくるんですよ」

わら細工は、材料さえあれば家でも仕事ができる。実際、職人のなかにも月1度の納品の時しか会社に来ない人もいるそうだ。その際、必要なわらを持ち帰り、また家で作業をするので、コミュニケーションが苦手な人でも自分のペースで働ける。

つくった商品はすべて買い取る仕組み

わらむではつくった商品をすべて買い取っている。技術が上がれば稼げる金額も上がるので、モチベーションにもつながっているようだ。

現在、わレらの学校には小学生から30代くらいまでの若者が所属し、このなかから職人になった人は13人いる。さらに、自ら企画してヒット商品を生み出す人も出てきた。生産が追いつかないほど人気になり、「出来上がるまで帰らない」と遅くまで作業をしている姿を見て、酒井さんは「こんなガッツがあったのか」と驚いたという。

「今では、僕より技術を持っている子もいます。こういう子たちにわら細工を任せておけば安心だなって思いますね」