2023年以前の教科書は客観的だった

本稿を書くにあたって、我々は今回の改訂の前に使われていた教科書についても確認してみました。すると驚くべきことに、本稿で紹介したような愛国主義的な記述は目立たず、客観的な歴史が記されていました。

東大カルペ・ディエム『世界の歴史教科書を読み比べてみた』(星海社)
東大カルペ・ディエム『世界の歴史教科書を読み比べてみた』(星海社)

現在の情勢を鑑みると意外に感じるかもしれませんが、以前のロシアの歴史教育はかなりレベルの高いものでした。

特にソ連時代に関しては、かつての諸民族に対する圧政やウクライナで起きた大飢饉ホロドモールに関してもしっかり教えられており、日本の世界史教科書以上に正確かつ詳細と思えるほどでした。

また、ゴルバチョフ元書記長に対するスタンスも注目に値します。

2018年に行われた調査ではソ連崩壊を残念に思うロシア市民が50%を超えるなど、ロシアではソ連へ肯定的な意見を持つ人も比較的多く、ソ連崩壊を実質的に引き起こしたゴルバチョフに対するロシア市民の評価は最悪です。

プーチン版教科書で消えたもの

しかし、かつての教科書ではゴルバチョフの政策に関して、いい面と悪い面が非常に公平に書かれています。

教科書と市民の評価にこのような乖離があるのは、ソ連の崩壊とロシア連邦の成立からまだ日が浅く、ソ連崩壊による混乱の記憶がいまだ生々しく残っていることが原因だと思われます。

しかし、愛国主義的改訂以前の教科書に関しても、プーチン政権以降の記述には一部疑義が残る部分もありました。

プーチン政権以前の出来事はいい面と悪い面、双方の点から記述されていましたが、プーチン政権後の記述では経済回復や教育予算の増加など、明らかにポジティブな面が強調されていました。

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