都営バスの東陽町駅前のバス停。赤いバツ印が運休
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都営バスの東陽町駅前のバス停。赤いバツ印が運休。東陽町から直通でフジテレビ、東京テレポートに行けなくなり、豊洲市場からの帰路便がなくなった(撮影:上田耕司)

都バスでは、深夜バスにも大きな見直しがあった。深夜02系統(王子駅〜豊島五丁目団地)、深夜03系統(西葛西駅〜コーシャハイム南葛西)など全6系統が休止となったのだ。ある現役の都バスの運転手は話す。

「慢性的な運転手不足だ。なり手がおらず、人が足りていない。お客さんからカスタマーハラスメントを受けたり、ちょっと遅れただけで『何やってんだ』と言われたりすることもしょっちゅう。都バスの運転手は地方公務員ですが、安定しているというだけで、給料はそんなによくないんです。民間のほかの業界で働いていたほうが給料は高い。都営バスはまだ来るほうなんですけど、民間のバス会社はもっと人が集まらないようですよ。それで、人が足りないので、もう路線を削るしかないというふうになっています」

東京都交通局に聞くと、昨年10月、平均年齢48.5歳の都バス運転手の年収は残業代込みで約672万円と公表したという。ある元都バスの運転手は、実態をこう話す。

「カーブを曲がっただけで『首がまわる』と抗議され、車内で転倒すれば怒号が飛ぶことも。お客さん同士でけんかすることもある。細い道、ふらつく自転車、寄せてくる乗用車。ぶつからないようにギリギリで回避し、急ブレーキをかければ車内が揺れる。1日1回はヒヤリとするし、とにかく神経をすり減らすんです」

最も疲弊したのは「拘束時間の長さ」だという。

「勤めていた営業所は古い建物の1階にあり、簡素なベッドが10台くらい並んでいて、いびきをかく同僚もいました。仕事はラッシュアワーに集中するから、朝乗って、昼寝て、また夜乗るというふうになる。13時間、14時間の拘束なんてザラでした」

一方、バス運転手の人材不足について、都交通局の担当者はこう語る。

「100人募集をかけても、合格発表のときには85人くらいしか補充できていないのが現状です」

高齢化社会を迎え、全国的にバスを運転できる大型2種免許の保有者が年数万人単位で減少している。都交通局の担当者は、都バスの運転手の半数が50代以上だといい、こう話す。

「安全運転や運賃管理、車いすのスロープの接遇など非常にタスクが多いうえ、バスは365日動かす業態で、土日休みのような規則的な勤務でもない。この変則的な勤務が、若い人や女性にとって壁になっている」