深夜バス消滅へ 広がる縮小と利用者へのしわ寄せ

今回の都バスの春のダイヤ改正で象徴的だったのが、前述した計6系統の深夜バスの全休止だ。その背景には、24年に適用された「改善基準告示」による労働時間規制と、ダイヤ編成の折り合いの悪さがある。

現在、運転手の拘束時間は法令で「原則13時間以内で、延長する場合でも最大15時間」と定められており、それ以上は超えられない。さらに勤務時間ごとに十分なインターバルを確保しなければならない。そのため、今まで通りのダイヤを維持しようとすれば、多くの運転手が必要になってしまう。

「午後11時以降や深夜0時台のバスを走らせると、車庫に帰ってくるのは深夜1時や2時になります。そうなると帰宅できないため、車庫での『泊まり勤務』になる。1便や2便の遅い便を運行するためだけに拘束時間が長くなり、翌朝のラッシュ時間帯に運転手を稼働させると2日分の勤務になってしまうわけです」(都交通局の担当者)

朝夕の通勤・通学ラッシュの需要に応えることは、公共交通にとっての生命線だ。担当者は説明する。

「我々としては、日中の運行で何度も走れる形で運転手を活用することを優先しました。朝夕のラッシュが維持できなくなるのは死活問題です。深夜便を運休し、その分、日中の運行にシフトさせる。(高齢化などで)退職する運転手がたくさん出ている中、人が足りていれば深夜便を運休する必要もなかった。絶対的な人数が足りない中での苦渋の選択でした」

都交通局では今、経験者に頼る採用から「裾野を広げる取り組み」へと舵を切っている。大型2種免許を持たない人を採用し、交通局の支援で免許を取得させる「養成枠」の拡大強化だ。外国籍であっても、公務員試験の要件を満たせば運転手になれる道は開かれているという。