なぜ、京都は昼も夜も暑いのか

一方、熱帯夜の数が多かったのは、沖縄(102)、神戸(78)、福岡(77)、大阪(同)、名古屋(70)、佐賀(69)、豊中(66)、久留米(65)、京都(64)で、関東では、横浜(61)、東京(52)、練馬(46)、伊勢崎(42)などとなっている。

猛暑日が多くても、熱帯夜数は比較的少ない。あるいはその逆パターンが少なくない中、京都は両方の日数が多いという状況だ。

「京都地方気象台によると、盆地の京都市は本来、日中は風が弱く強い日射で気温が上昇しやすいが、夜間は放射冷却で気温が下がりやすい。しかし、近年は都市化のため夜も気温が高いままになっている」という(京都新聞2025.9.15)。

こんな記録にまで達していることはオドロキだが、盆地で空気がよどむ京都では夏がやたらと暑いことは、夏、京都を訪れた経験のある者なら誰でも知っている。

暑さを表現する言葉に「カンカン照り」があるが、京都の場合は、直射日光による暑さというより、空気が動かない暑さで、しばしば「あぶら照り」と形容されるそうだ。

そうした環境であることを踏まえ、京都の伝統的な住宅(京町家)では、蒸し暑い夏を快適に過ごすため、衣服を衣替えするように住宅の建具や敷物を夏用のものに入れ替える「建具替え」や「しつらえ替え」と呼ばれる習慣がある(例えばふすまや障子を簾戸すど葦戸よしどに入れ替える)。

この習慣は、古くから盆地の暑さを乗り切るための先人の知恵であり、主に6月1日頃(または梅雨の晴れ間)に行われる。京都に密着したドラマなどではこの様子が京都らしい場面として印象的に描かれることが多い(たとえばネトフリなどでも見ることができる「舞妓さんちのまかないさん」)。

祇園祭、花傘巡行
写真=iStock.com/CHENG FENG CHIANG
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涼を取り入れる京都の知恵

しかし、風鈴などを含め、こうした生活習慣上の工夫ではもはや乗り越えることができないほどの暑さとなっているのではないかと推察される。

これまでの京都人精神から推察すれば「伝統的な工夫で極力暑さを入れず、本当に必要な時だけ最新技術のクーラーに頼る」という実用と美学が調和した新しい「京都らしさ」が目指されると思われるが、そのスタイルとして実際、何が普及するかが注目される。

例えば、一人暮らしの高齢者が自宅で一日中エアコンをつけっぱなしにするのではなく、カフェや公共施設などの涼しい場所に集まる「クールシェア」が京都市でも提案されているが、屋外「クールスポット」や京都に多いお寺や大学の活用などを通じた京都的な展開が何らかのかたちで定着することになるだろうか。