都内・新築なら「年収の18倍」が必要
② 購買力による「静かな脱落」が続く
市場の調整は、価格の下落という形ではやってきません。高騰する価格についていけない層が、検討リストから静かに脱落していくことでバランスが取られているのです。
これはデータにも表れていて、購入者層の年収分布は年々高所得側にシフトしており、「中間層の住宅取得困難化」が加速しています。
東京カンテイの調査では、新築マンションの年収倍率(物件価格÷平均年収)は全国平均で2023年に集計開始以来、初めて10倍を突破し、2024年には10.38倍と8年連続で拡大しました。
東京都単体では17倍に達しており、年収600万円世帯が都内の新築マンションを購入しようとすれば、年収の18倍超の物件を買わざるを得ない計算になります。つまり、「購入できる層だけが市場に残る」という構造は、この数字が物語っています。
待機期間中に起きるのは、市場の修正ではなく、インフレと住宅ローン金利の変動による「あなたの購買力の相対的な低下」といえます。
仮に5年間様子を見ている間に、物件価格が横ばいでも、インフレで手取りの実質価値は目減りし、金利上昇でローン返済額は増える。「待てば安く買える」という前提は、もはや成立はしません。
金利上昇は追い風にはならない
③ 「金利上昇」は本当に価格を下げるか
「日銀が金利を上げれば不動産価格が下がる」という論も根強くあります。確かに金利上昇は購買力を下げますが、前述のコスト構造の変化は金利とは独立した要因であるため、仮に金利が上昇しても、デベロッパーは値下げではなく供給削減で対応する可能性が高いはずです。
金利が上がれば「欲しくても買えない人」が増えるだけで、価格そのものは大きく動かないシナリオが現実的といえます。
今の市場において合理的な判断を下せるのは、冷静な自己分析が完了している人だけです。
これから解説する3つの条件をクリアしていなければ、購入は避けるべきです。これらは「理想論」ではなく、現在の価格水準と金利環境を踏まえた、最低限のリスク管理の基準です。

