石油で儲けても財政はボロボロ

もちろん、短期の追い風はある。4月9日に配信されたロイターの記事によれば、ロシアの主要石油税収は4月に約7000億ルーブル、約90億ドル(約1兆4000億円)へ倍増する見通しとなった。税務上使われるウラル原油の1バレルあたりの平均価格も、2月の44.59ドルから3月に77ドルへ上昇した。

だが同じ記事は、ロシアが1〜3月に4.58兆ルーブルの財政赤字を抱え、ウクライナによるエネルギーインフラ攻撃が収入を押し下げ、生産削減リスクを高めているとも指摘している。これは「ボロ儲け」というより、穴の空いた財布に高値の原油代金を流し込んでいる状態に近い。

4月14日に配信されたロイターの記事も、国際エネルギー機関(IEA)が、港湾やエネルギーインフラの損傷により、ロシアは短期的に増産に苦しむ可能性があると見ていると報じた。

2026年4月28日、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が、ロシア・モスクワのクレムリンで開催されたセッションの参加者に向けて、ビデオメッセージを寄せた。
写真=SPUTNIK/時事通信フォト
2026年4月28日、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が、ロシア・モスクワのクレムリンで開催されたセッションの参加者に向けて、ビデオメッセージを寄せた。

税収が増えても、増産できず、輸送も不安定なら、その効果は財政の延命にとどまる。強い国家が余裕で稼いでいるのではなく、戦費と赤字に追われる国家が高値に助けられている構図なのである。

制裁猶予はプーチンの外交勝利ではない

米国による制裁猶予も、ロシアにとって短期の助けになった。4月18日に配信されたロイターの記事によれば、トランプ政権は、制裁対象のロシア産石油を洋上で購入することを5月16日まで認める猶予措置を更新した。アジア諸国がエネルギー価格高騰に苦しみ、代替供給を市場に届かせるよう米国に求めたことが背景にある。

しかし、これをプーチンの外交勝利と見るのは早い。同記事は、米国の与野党議員がこの猶予を批判し、欧州連合(EU)側も対ロ制裁を緩める時ではないと訴えたと報じている。危機時にはロシア産を買わざるを得ない。だからこそ危機後にはロシア依存を減らすべきだ――。この空気が強まれば、猶予は勝利ではなく、将来の締め付けを正当化する材料になる。

しかも、この猶予は「ロシアが必要だから認める」というより、「市場が壊れすぎるから一時的に認める」という性格が強い。例外扱いが必要になるほど、ロシア産エネルギーは政治的に扱いにくい商品になったとも言える。