国民食のマグロでさえ輸入物が多い
原油や鉱物資源をはじめ、多くを輸入に頼り、資源に乏しいと言われる日本。小さな島国だが、四方を海に囲まれているため、主権を有する排他的経済水域(EEZ)は、世界6位に浮上する。豊かな周辺海域では、数百種に上る魚介が生息し、古くから多彩な魚食文化を育んできた。
ところが、食の多様化や海洋環境の変化もあって、国産の天然魚が日常の食卓に次第に上らなくなってきた。回転寿司やスーパーの店頭では、養殖魚や外国産の冷凍魚が定番ネタとして幅を利かせている。
なぜ、日本で国産の天然魚が気軽に食べられなくなっているのだろうか。
ウミオス(旧マルハニチロ)が3月下旬に発表した「回転寿司に関する消費者実態調査」(有効回答、全国2951人)によると、「よく食べているネタ」の上位は、サーモン、マグロ(赤身)、エビ、マグロ(中トロ)、ハマチ・ブリがベスト5である。ちなみに6位はイカで、次点は魚種ではなく「ネギトロ」といった変わり種が続く。中でもサーモンは15年連続で1位。寿司ネタなどとして代表的な国民食となっている。
子供から年配者まで気軽に楽しめるのが回転寿司。ねじり鉢巻きでこだわりが強そうな大将が握るカウンター寿司なら、江戸前のコハダやシャコ、さらにこの時期なら「初ガツオ」の注文がありそうだが、回転寿司にはそこまで季節感を期待しないのだろう。
サーモンは、日本でも各地でニジマスなどを養殖した「ご当地サーモン」が生産されているが、回転寿司のサーモンはほとんどが外国産。ノルウェーやチリなどから輸入した養殖魚だ。マグロは国産・輸入と両方あり。国産の養殖本マグロを扱う回転寿司もあるが、主流は冷凍のメバチマグロやキハダマグロである。
このマグロでさえ、輸入物が多い。農林水産省の調査によると、2024年の日本のメバチマグロ生産量は、合計約2万9000トン。これに対し、同年の輸入量は台湾や中国、韓国をはじめ、合計約6万2000トン(マグロ団体まとめ)で2倍以上に上る。キハダマグロについては、国産・輸入が拮抗しており、ともに意外と知られていないが、回転寿司で提供される「マグロ」も輸入物が少なくない。
さらに、エビはベトナムやインドなど、東南アジアで養殖されているバナメイエビが中心。イカは北海道や青森県産などのスルメイカが大不漁とあって、アカイカなどが代用されている。国産もあるものの、中国、ロシア産などの輸入物も少なくない。
「フェア」の人気ネタを通年で出せない事情
回転寿司の人気ランキング上位のネタで唯一、「オールジャパン」なのがハマチ・ブリだ。そもそも出世魚(※1)のブリ(ワラサ、イナダなどを含む)は、日本近海の固有種で中国や韓国沿岸でも漁獲されるが、日本は天然ブリの漁獲以外に「ハマチ」などと呼ばれる養殖も盛んなため、輸入に頼る必要がなく、年間を通じて供給が可能な貴重な魚種である。
もちろん、回転寿司チェーン各社とも、国産の主に天然魚を中心としたネタを揃え、「フェア」「祭り」と謳って、期間限定のキャンペーンを実施。この春も、最大手のスシローが「長崎沖天然本鮪ねぎとろ包み」「枕崎産 溶岩焼かつおたたき」など、旬のネタを前面に出してPRした。ただ、いずれも定番にはなりえない。安定的な量と質、さらに価格が保証されないためだ。
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