良質な睡眠をとるには、どうすればいいのか。耳鼻咽喉科医の木村至信さんは「慢性的ないびきを放置すると、命を落とすことが十分にあり得る。病院を受診して適切な治療を受けてほしいが、まずは今夜、5つの対策を試してみてほしい」という――。(第3回)

※本稿は、木村至信『1万人の鼻の悩みを解決した医師が教える 鼻炎のリセット法』(アスコム)の一部を再編集したものです。

ベッドで仰向けに寝ている男性
写真=iStock.com/koumaru
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「いびき」は改善できる

私のクリニックでは、しばしば「いびき」について相談を受けます。いびきは自分ではコントロールできないことですが、家族から「うるさい」「別の部屋で寝て」などと言われて悩んでいる方が少なくありません。

いびきのせいで、朝起きたときに口の中が乾いていることもあります。そのせいで朝の口臭がきつくなったり、虫歯が増えたりすることもあります。

いびきは、眠っているときに鼻や喉が発する呼吸の雑音です。睡眠中は重力のせいで舌の根元が下方に落ちて、上気道(鼻腔から喉のあたりまでの、空気の通り道)が狭くなります。狭くなったところを空気が通るので、周囲の組織が振動していびきが起こるのです。トンネルの中でゴオッという音がするのと同じです。「寝息」がうるさくなったものともいえます。

それでも、たんなる「単純性いびき」であれば、あまり心配しなくてもいいでしょう。単純性いびきというのは、風邪、疲労、飲酒、鼻づまりなどが原因で、一時的に起こるいびきです。原因である鼻づまりや疲労、風邪などが緩和されたり、飲酒の量を控えたりすれば治まります。

それ以外の原因には、鼻中隔彎曲症(鼻の真ん中の仕切りが曲がっている)、肥厚性鼻炎(鼻の粘膜が慢性的な炎症で厚くなっていて、鼻腔が狭い)、鼻茸はなたけ(鼻の良性ポリープ)、アレルギー性鼻炎、慢性副鼻腔炎、習慣性扁桃炎、慢性咽頭炎、アデノイド肥大が多く、それぞれの病気を治療すればいびきは改善します。

軽視はNG、スマホアプリで測定できる

心配しすぎることはありませんが、いびきは軽視しないほうがいいでしょう。

いびきがひどくなると睡眠の質が落ちるからです。後述しますが、いびきは睡眠時無呼吸症候群のサインかもしれず、生命に関わることがあります。本人に自覚がなくても、家族としていびきに気づいたら、耳鼻科に行って検査を受けてもらうようにすすめてほしいと思います。

私はパートナーがいびきをかくと、「こんなに疲れるほど頑張っているんだな」と思うのですが、大事な人が長生きして充実した人生を歩めるように、本人が傷つかない言葉とトーンで、「いびきかいてるよ、大丈夫?」と声をかけます。

自分がどれくらいいびきをかいているのか、身近な人に聞けなければ、スマートフォンのアプリを利用しましょう。いびきを記録・測定し、問題点や解決策を提示してくれます。無料のアプリは精度が落ちますが、とりあえず自分のいびきの状態は把握できます。

なお、中年の女性のいびきは閉経とも関係しています。

女性が更年期に差しかかると、急激に女性ホルモン量が減少します。すると、上気道の開きを維持しようとする筋肉の働きが悪くなります。上気道が狭くなれば、どうしてもいびきが出ます。更年期でいびきが出る方は、耳鼻科や婦人科に相談するといいでしょう。