「~と考えているんですね」と内容を繰り返す
たとえば、「おまえみたいな若造に何がわかるんだよ!」みたいに言われたとします。
この言葉に反発して「は? むしろ、時代遅れの考えを押し付けないでほしいんですけど?」というふうに、相手と同じ土俵に乗って、応戦してはいけません。そうではなく「あなたは年齢が若い人には、理解できないと考えているのですね」と返すのです。
これだけで、相手は反発の勢いが少し下がり、「いや、そういう意味ではなく、うちらの世代はいろいろ見てきたものがあってさ……」とか「あ、今のは言いすぎたね、そうではなく……」というような対応に変わって、別の論点につなげやすくなります。
別の方法として「黙認」してしまうのも手です。あえて何も言い返さず、まずは受け止める。とくに感情が高ぶっている相手に対しては、即座に反応しないことが効果的な場合もあります。
相手の勢いに飲み込まれず、一呼吸おくことで「あ、言いすぎたかな」と相手自身に気づいてもらえることがあります。
さらに、相手の承認欲求を刺激しつつ、実践的なのが「逆質問」する方法です。否定的な言葉を受けたときに、「私は、そのあたり詳しくないので、正解を教えてもらえませんか?」とか、「では、どうすればいいと思いますか?」と尋ねてみる。そうすると、口撃一辺倒だった相手も「代替案を考えるモード」に切り替わって、建設的な対話に戻しやすくなります。
「合意」よりも「腹落ち」を目指す
どれも、ちょっとした方法なのですが、感情に支配されやすい場面では忘れがちなので、ぜひ身に付けておきたい対話術です。
これは、京都という土地で多様な価値観に向き合うなかで、私自身が意識的に磨いてきた姿勢でもあります。大切なのは、「相手をやり込める」のではなく「関係を壊さない」を優先することです。相手の承認欲求をこじれさせず、こちらも冷静さを保つことで、対立の火種を大きな炎にせずに済みます。
オウム返しや逆質問などの方法は、対立を激化させず、次のやりとりへつなげるための有効な手立てです。
しかし、こうした対話術で表面的に衝突を回避できても、それだけでは対話の安定にはつながりません。そこで整理しておきたいのが「合意」と「腹落ち」の違いです。
「合意」とは、簡単にいえば「条件が一致した状態」です。ここまでの整理でいうと「合意」とは「条件的対立の解消」ともいえます。
たとえば、あなたが千円のペンを売りたいとします。相手が「700円なら買うよ」と意思表示をして、あなたが「いや、せめて900円」などとやりとりしてる間は「条件的対立」を調整している状態です。
そこで相手が「うーん。じゃあ800円なら、どう?」と提案し、あなたも800円なら売っても良いと考えるなら、そこで「条件的対立」が解消されて「合意」に至ります。

