本当に足りないのは筋力ではないのかも
多くの人は、身体の問題を解決する方法として「筋力をつける」ことを優先させます。特にアスリートはその傾向が強いです。
腰を痛めるなら腹筋を鍛える、腕のパワー不足を感じるなら腕や背筋を強化する、という具合です。
しかし、これはあくまで「今ある動作パターンの中」で筋肉を鍛えているにすぎず、動き方そのものは変わりません。むしろパターンが固定化されることで筋力への依存が強まり、負担の偏りが助長されることすらあります。
このような複雑な問題において重要な解決策となったのが、今では「身体操作」と呼んでいる観点です。
身体操作という言葉は武術の世界では一般的であり、さまざまな考え方があります。
本稿での身体操作の位置づけは、「動きの中で扱える力の種類(協力者)を増やし、的確に扱えるようになること。そして、そのために身体のつながりを高めていくこと」。
私はこの考え方を体系立て、具体的なトレーニングとして落とし込むことで、多くの選手のパフォーマンス向上を支えてきました。
そんな、「身体操作トレーニング」の中から、今回は背骨・肋骨の動きを改善し、みぞおちへの刺激を与える「8の字背骨回し」をご紹介します。
このトレーニングは深層筋群の発達を促すことを目的としています。深層筋群が適切に働いていると過剰な緊張がなく、本来力が入るべき場所に力が入り、力を入れる必要のない部位の脱力を促せます。
さらに深層筋群が発達していることで関節を安定させ、「身体のつながり」をつくることができます。
【8の字背骨回し】
1.両手でみぞおちを押さえる
立位の姿勢で行う。指を下の写真の形にしてみぞおちを押す。
2.1の状態のまま、肩を後ろと前に回す背泳ぎするように肩を交互に後ろ回しする。速く動かすと背骨・肋骨の動きが小さくなりやすいので、ゆっくりと。次にクロールをするように肩を交互に前回しする。後ろ回しよりも力みが出やすいため、さらに注意が必要。
みぞおちを押さえて背骨を動かすことで、上半身と下半身をつなぐ大腰筋の働きを促し、力の伝達がスムーズに。また、みぞおちは体幹の安定に関わる横隔膜の位置を指し、その動きは呼吸と腹圧のコントロールにも役立ちます。このトレーニングは肩を動かすことで、背骨・肋骨、みぞおちにまんべんなく刺激が入るメリットがあります。
また、ボールを投げる・ラケットを振るといった動作に不可欠な背骨や肋骨の柔軟な動きが含まれており、競技動作全体のしなやかさを引き出すのに効果的です。
●背骨だけでなく肋骨がグリグリ動いている感覚を追いかける
●肩が疲れてきてしまうのはNG(背骨・肋骨が十分に動かせていない)
筋力を鍛えていてもパフォーマンスが上がらない、ケガを繰り返すという人は、ぜひこれら身体操作トレーニングに取り組んでみてください。



