混合診療解禁で起こる4つの問題

このような懸念を述べると、「まさかそんな大げさな」という人が必ずあらわれますが、じっさいの運用でおこなわないと国会答弁で「口約束」されても、法文上で可能であるかぎり、いったん法制化された以降は、国会審議を必要とせず、ときの厚生労働大臣によって恣意的な運用がなされても文句は言えなくなるのです。

つまり「混合診療の全面解禁」が、この条文の追加によって法的根拠を得ることになるのです。

では混合診療の全面解禁のなにが問題なのかということについて、過去記事でも述べていますが、もういちど確認しておきましょう。

1)【高額請求のリスク】保険診療と自由診療が医師の裁量で自由に組み合わせることができるようになるため、自由診療分については医師の裁量で自由に価格設定ができます。したがって「医師の言い値」で高額な請求がされる可能性が高まります。

2)【医療の質が二極化】保険適用外の医薬品や処置を医師から勧められた場合に、個人の財力によって受けられる医療の質に差が生じることが避けられなくなります。いわゆる「カネの切れ目が、命の切れ目」になるということです。

医療費明細書
写真=iStock.com/Yusuke Ide
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3)【健康問題の自己責任化】医療が利益追求型のビジネスに変質する可能性が高くなります。保険診療だけでは経営が困難となった医療機関では積極的に自費診療をおこなうようになりますが、その際に、提供される医薬品や技術が本当に患者さんの利益となるのか、提示された金額が適正なものなのか、患者さん側が「自己責任」で判断しなくてはならなくなります。インチキ医療をおこなう医師が出てくる可能性とともに、それを知識や情報の非対称性のあるなかで、患者さん側が見抜くことがはたして可能か、という大きな問題に直面します。

4)【保険医療の質の低下】真に有効で安全な医薬品や医療技術であれば、貧富の差にかかわらずすべての人に公平に安価で提供されるべきです。つまり保険適用にされるべきですが、自費診療で流通し始めてしまうと、社会保障費の削減を進めたい政府の側に、保険適用にしようという動機(インセンティブ)は失われてしまいます。

これらを確認しただけでもわかるとおり、混合診療が全面解禁となれば、わが国の国民皆保険制度はいともたやすく崩壊してしまうのです。