「自分の言葉」はどこにあるのか

翻って、「自分の言葉で伝える」とウェブサイトで謳う、いまのキャスターたちは、相手を、つまり、私を含めた見る側を、どれだけ「納得させる表現力」を持っているだろうか。

放送した後に、Xだけではなく、1週間後のOAでも、2度にわたって「補足」をしなければいけないのは、相手=視聴者たちの理解力が劣っているからなのか。もし、料治のような表現力があるのなら、いちいち「補足」などしなくても済むのではないか。「自分の言葉」を持っているのなら、なぜ「補足」が必要なのか。

今回の炎上は、「自分の言葉」を打ち出し、これまで半世紀近くにわたって民放のみならず、日本のテレビ報道を牽引してきた同番組が、「補足」という、謝罪でも強弁でもない、木で鼻をくくるような、どっちつかずの表現を繰り返しているせいではないか。

いや、こんな問いかけ全てが、むなしい。「“政府発表”のウラ側を追い、“当たり前の常識”を疑う」とウェブサイトで打ち出す「報道特集」の人たちには、響かないだろうからである。高市首相がXで説明すればするほど、それを「政府発表」として追い、それを信じる人たちの「当たり前」を疑うのが、彼ら彼女たちの方針だからである。

しかし、まさしく、その姿勢こそ、自分たちが築き上げてきた長く尊い歴史を蝕むのではないか。

「結論ありき」のテレビ報道の限界

今回の「間違いなく、今の状況が続いたら、6月、詰むんですよ、日本」との発言は、ディレクター側にとっても、また、発言した側にとっても、「おいしい」ものだったと思われる。私自身、取材する立場だったときから、今は取材される側としても、こうしたパンチラインが出ると、心の中で「これは使える」と安堵したり、喜んだりしてきた。

実際、発言の主である境野氏は、Xに「『報道特集』裏話シリーズ。」と題して、ある比喩表現をめぐり、「ディレクターから『もう一回、それ言ってください』と言われた」と明かしている。そのポストの末尾に「笑。」をつける程度の、つまりは、そこまで深刻ではない話題なのかと疑うのは、誤りなのだろう。「詰む」とか「一択しかない」と表現する境野氏と、それをOAに使う「報道特集」にとっては、こうした「笑。」を「自分の言葉」として使う点で、姿勢を共有しているのだろう。

その姿勢が、あくまでも「補足」と称して「結論ありき」にこだわり、「指摘されても謝らない」、そんな傲岸不遜さだと、少なくない人たちにとらえられているから、今回の炎上が起きたのではないか。その高慢さは、「調査報道」の看板を揺るがす限界を過ぎている。

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