放送から3日後、番組がSNSで発信したこと
炎上の発端となった「間違いなく、今の状況が続いたら、6月、詰むんですよ、日本」との発言について、「報道特集」は、放送から3日後のXで次のように「補足」している。
さらに、放送から1週間後の今月11日にも、同番組は「心配されるナフサ不足 身近な現場に広がる切実な声」(動画タイトルは「ナフサ由来の一部石油製品が供給不足、身近な現場に広がる切実な声」)と題した20分ほどのVTRを放送している。シンナーをはじめとするナフサ由来の製品が足りないとする、さまざまな取材をもとにしたものだった。
境野春彦氏とは別の専門家へのインタビューでしめくくり、スタジオでも、山本恵里伽キャスターが「なかなか声を上げづらい現場の方々が、これほど取材に応じてくださったこと自体、非常に大きな意味を持つと感じていますし、それだけ厳しい状況にあると言えるのではないでしょうか」とコメントしている。
「補足」に見え隠れする“驕り”
そして、日下部正樹キャスターが前の週の境野氏のコメントに言及した。「適切にお伝えできていない部分がありました」とした上で、「これは、6月にナフサの供給がなくなる、という意味ではありません」とし、上記の「補足」を繰り返している。
自分たちは、45年以上の歴史を誇る報道番組のパイオニアであり、「キャスター自ら現場に向かい、自分の言葉で伝える」(同番組ウェブサイトより)気概に満ちている。そんな自分たちが、わざわざ「補足」をしなければいけないほど、視聴者のリテラシーが落ちているのではないか。そんな傲慢さというか驕りが、一連の「補足」という呼び方に隠れてはいまいか。
「報道特集」初代キャスターの料治直矢を描いたルポライターの瀧井宏臣氏は、「トツトツとしたしゃべりながらも、一言で相手を納得させる表現力を持った独特のキャスターだった」(『武骨の人 料治直矢』講談社、2004年、108ページ)と評している。「りょーじしゃん」と愛された料治氏なら、「補足」をしなかったし、「その趣旨を適切にお伝えすることができなかった」などと生成AIのような紋切り型の定型文ではなく、少なくとも「自分の言葉」で語ったに違いない。

