赤字額2491億円(推計)という衝撃
いま試算した1旅客人キロ当たりの直接経費に実際の旅客人キロを乗じると想定される直接的な損益が求められる。その結果も表にまとめておいた。
JR東日本全体での直接的な損益は実際の数値が4494億円、試算した数値が図表では4499億円と5億円の差が生じているので、あくまでも参考値としてご覧いただきたい。
試算の結果、衝撃的な金額が求められた。
新幹線は定期旅客で49億円、定期外旅客で3376億円と合わせて3427億円の直接的な利益を計上したと見られるのに対し、在来線は全体で1072億円の直接的な利益にとどまる。定期外旅客で3552億円の直接的な利益を計上した反面、定期旅客で2481億円の直接的な損失を計上したからだ。
毎日、混雑する列車に乗って通勤、通学されている各位には誠に気の毒ながら、定期券を利用して通っている以上、あまり儲からない顧客である可能性も考えられる。
なぜ定期旅客輸送部門が不採算になるのか
直接経費に関して補足すると、超高速で走行する新幹線とそうでない在来線とでは実際には異なると思われ、新幹線のほうがより高額なはずだ。しかし、同じ在来線の路線で定期旅客と定期外旅客とで直接経費が異なるとは考えづらい。
したがって、定期旅客についての1旅客人キロ当たりの鉄道運輸収入という確定値に生じた数値がもう少し改善されない限り、定期旅客輸送部門が不採算と見受けられる状況は変わらない。
JR東日本における在来線の定期旅客輸送部門の収支がなぜ芳しくないと考えられるのであろうか。それは、同社と同じエリアで鉄道事業を展開する大手私鉄や地下鉄と比べると通勤定期の割引率が大きいからだ。
国は大人が10キロ乗車したときの場合の普通運賃の総和と1カ月通勤定期の金額とを比較して割引率を示している。紙の切符の金額が基準だ。
JR東日本の場合、運賃改定前の山手線内、そして電車特定区間では10キロ乗車で普通運賃はともに180円、1カ月の通勤定期もともに5620円、幹線は普通運賃が200円、1カ月の通勤定期は5940円であった。
1カ月を30日と考え、1日に1往復、つまり2回乗ると普通運賃は山手線内、電車特定区間が1万800円、幹線が1万2000円。対して通勤定期は山手線内、電車特定区間が5620円、幹線が5940円であったから割引率は山手線内、電車特定区間が48.1パーセント、幹線が50.5パーセントとなる。

